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「ゲームやめよう」で逆ギレ…頭を抱える親が欠けている視点

子育て

2022.03.01

2022.03.07

スマートフォン所有者の低年齢化やコロナ禍の外出自粛などを背景に、子どもがゲームで遊ぶ機会が増えています。なかには夢中になり過ぎて、学業や生活面に悪影響が出ているお子さんも。そこで今回は、「ゲームをやめられない子どもへの対応」について、教育家・見守る子育て研究所所長の小川大介先生にお話を伺いました。

【Q】ゲームをやめられない子への対応は?

小学4年生の男の子の母です。ゲームをやめられなくて困っています。「18時になったらやめようね」などと事前に約束。時間が近くなるとこまめに何度も声をかけますが、生返事ばかり。時間になったところで「キリのいいところでやめようね」と言っても完全無視です。ゲーム機を取り上げると、癇癪を起こしてしまい、その後、勉強どころじゃなくなります。どうしたらよいかわかりません。

段階を踏まえて「ゲームをやめる力」を育む

親御さんとしては約束通りに声がけをしているつもりかもしれませんが、お子さんは納得していないようですね。だから、親御さんの声がけを受け流し、時間がきても無視をするのでしょう。

 

そして最終的に責められると、先送りにしていた問題に直面せざるをえなくなり、爆発するしかなくなる。親子の間で「合意形成ができていない状態」なので、今のままではずっと平行線です。

 

私も何百件と保護者からゲーム問題の相談を受けていますが、ご相談者様のお子さんのように「生返事で当座しのぎ無視追い込まれて逆切れ」というパターンがとても多い。

 

この場合は、「どうすればやめさせられるか」ではなく、「どうすればゲームをやめる力を育んであげられるか」という視点を大事にしてください。

ゲームをする男の子

まずは食事中やお風呂上りなど落ち着いている時を見計らい、話し合いの時間を持ちます。重要なのは、「ゲームをするなということではなく、やめる力を持ってほしい」ことを説明したうえで、話し合うこと。

 

「どうしたら楽しく遊んで気持ちよくやめられるかな。それを決めることができたらママも安心だし、あなたも気持ちがラクなのでは?」と、本人の納得感を生む方向性で話を進めましょう。「簡単にやめられないよね」「自分の納得するところでやめたいよね」と、寄り添いながら相談してください。

 

具体策を相談する過程では、いかに子どもに「やめることができた自分」をイメージさせてあげられるかがポイントになります。

 

「ゲームを途中でやめるとしたら、どんなやめかたがあるの?」とお子さんに聞き、例えばロールプレイングゲームであれば「中ボスを倒したらやめる」などひと区切りつけられるところを一緒に探りましょう。

 

オンラインゲームだと、チームを組んでいる場合は抜けにくいものです。「リーグ戦が始まる前でやめる」「2試合でやめる」といったよいタイミングを確認し、「事前にお友達に抜けるタイミングを伝えて了承を得れば、仲間外れにならないよ」と安心させてあげましょう。

 

また、オンラインゲームは特別イベントがあったり、普段参加しない友達が参加したりする日もあります。そういった特別な日は、「前もって教えてね。そうすれば、やるべきことをどの時間でやるか一緒に決められるよね」といった形で歩み寄ってあげるとよいと思います。

 

ただし、離脱を許さないようなメンバーであれば、お付き合いするお友達としてふさわしいのかなども相談する必要があるでしょう。

信頼関係の修復が必要な場合はまず「謝罪」を

 一方、すでに押し問答を繰り返してきて相談すら成り立たないご家庭もあります。実はゲームによる親子関係の亀裂はかなり大きい。

 

ゲームは他の遊びに比べて脳への刺激が強いからです。短いサイクルで脳にとっての報酬が得られて、脳内麻薬とも言われるドーパミンやエンドルフィンが分泌され続けるよう上手に設計されているので、依存性や常習性がある。だから、脳内が心地よくなっている状態でゲームを取り上げられると、怒りに変わるのです。

 

この場合は、信頼関係の作り直しから始めなければいけません。例えば、「ママもパパもあなたの心と体の健康を願っている。だからこそ、ゲームは楽しくやってほしいし、気持ちよく終えてほしい」と、当たり前すぎて普段口に出さない大事なことを伝えることが重要になります。

 

あわせてこれまでの関わり方もちゃんと謝ること。「あなたのことが大事だからこそ、心配が募ると怒ってしまっていた。でも、愛情表現とはいえ、いきなりゲームをやめさせようとするのは親として未熟でした。ごめんね」と、伝えてください。

 

子どもにリセットしてもらうためには、こうした「心の儀式」が必要です。ただし、やめるかどうかは子どもの意志の問題。「謝っても信用できない」という反応もあるでしょう。その際はくれぐれも逆切れせず、「それだけ根深いのだな」と理解してあげてください。

 

晴れてゲームをやめることができたら、必ず褒めること。「決めた通り、ここをクリアしてすぐにやめられたね」など、具体的にどうやめられたかを褒めてあげましょう。どんなときに自分がゲームをやめられるかがわかっていれば、他のゲームも上手にやめられるようになっていきます。

忙しいからこそ「手順」や「段取り」を重視しよう 

ゲーム問題で悩む親御さんは共通して「やめる力を育てるには段階がある」という視点が欠けています。話し合いができるのか、過去の清算が必要なのか、どの段階にあるのかを理解し、今回お話したような手順を踏めばゲームはやめられます。諦める必要はありません。

 

実は、ゲーム問題で悩む親御さんの多くが共働き家庭。子どもと一緒にいる時間が少ないため、「十分な関わりはできない」と思ってしまうのも無理はありません。しかし、子育ても仕事と同じで、時間がないご家庭こそ成果を上げるには「手順」や「段取り」が大事になります。

 

例えば、話し合いができる状態なら、まずは自分の生活時間と子どもの生活時間を照らし合わせ、話し合いができそうな時間を決めること。10分もあればOK5分でポイントを押さえて話し、その場で約束したことを紙に書く。そして、翌日どう思うか改めて聞く。話し合いが難しい関係に陥っているなら、親として心配している思いと我が子への愛情を手紙に書いて置いておく。

 

そんなふうに、戦略的に相互理解を深めることが大事になってきます。各ご家庭でどんな方法がとれるのか、少しでも参考になれば幸いです。

PROFILE 小川大介

小川大介先生

教育家・見守る子育て研究所所長。京大法卒。30年の中学受験指導と6000回の面談で培った洞察力と的確な助言により、幼児低学年からの能力育成、子育て支援で実績を重ねる。メディア出演・著書多数。Youtubeチャンネル「見守る子育て研究所」。

取材・構成/佐藤ちひろ

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