息子を肩車する姿に「友達は泣いていました」

── 働く母親にとって、身近に頼れる方がいるのは心強いですね。

 

MIZUHOさん:息子が3歳のときに離婚して、2年前に再婚したのですが、それまではずっとシングルで育てていました。パパがいない状態でずっと育ててきたので、再婚後の今も頼り方がわからないというのはあります。たとえば、息子の試合を観に行くとか、夫婦で一緒にできることはいいんですが、「これをやっといて」とお願いすることはあまりなくて。自分で全部やるものという癖がついてしまっているんですよね。

 

MIZUHOさん
体操教室を運営する会社のイメージキャラクターとしても活動するMIZUHOさん

子どもが小さいときに友達と子連れでディズニーランドに行ったことがありました。子どもの身長ではパレードがよく見えないので、私が息子を肩車していたんです。もうひとりシングルで育てている子と一緒に並んで。別の友達が私たちの姿を見て泣いていました。「泣かれたらこっちも泣きたくなるじゃん!ちょっとやめて!」と言ったのを覚えています(笑)。

 

── 肩車もご自身で!

 

MIZUHOさん:私にしてみたら当たり前のことでしたし、それに当時の息子の体重では肩車もできたので、それをつらいとは思っていませんでした。今は世のパパが抱っこ紐をして育児をしている姿を見かけることも多いので、いい時代だなと思います。でも平日に仕事をして、週末も子育てで休みがないのはちょっと可哀想だなとも思いますけど、パパが子育てに関わっている家庭はだいぶ増えましたね。

 

シングルだったおかげか、世の中とはずっと繋がっていた感覚はありました。働きながら社会と繋がって、いろんな方に助けていただきながら息子は大きくなっていったと思います。

 

── お話を伺っていて、大変なこともポジティブに変換されているように感じました。

 

MIZUHOさん:そうですね。「こうなったから、そうしなきゃ」という感じですぐに行動に移してきた部分は多いかもしれません。それに子どもがかわいくて、この存在があるから頑張れたことは間違いありません。今では息子に、私が「自由すぎて大変」と言われるようになってしまってますけど。

 

息子は今、反抗期に差し掛かっているんです。しゃべっていないのに「うるさい」と言われますし、「授業参観に来ないで」と言いつつも、行ったら行ったで嬉しそうにしていますよ。

 

── 思春期の息子さんとはどう向き合っているんですか。

 

MIZUHOさん:ママ友から「反抗期はほっとくのがいい」と教えてもらったんですけど、性格的に全然ほっとけなくて。息子の態度が気に入らないときはいまだに怒りますし、しばらく口を聞かないでいると、息子の方から「ごめんなさい」と謝ってきます。まだかわいいものですね。でも、謝ればいいと思っている側面があるので、「いったい、何がごめんなさいなの?」と聞き返しますし、取っ組み合いになることもあります。もうだいぶ力が強いので負けそうになると「成長したな」と思いますね。

 

── 楽しそうな親子関係ですね!

 

MIZUHOさん:一緒になってやり合うタイプです(笑)。息子の子育てがやっともう少しで落ち着くというところに来ました。若いときに出産して、だいぶ期間が空いていますし、年齢のことも考えるとどうなのかなとは思うのですが、もうひとり産んでみたいと思っています。

 

息子はすごく安産で、5時間ほどで生まれました。でもその日の日記を見ると、「もう2度と産みたくない」と書いてあって。その後はかわいくて大変さは忘れていくのですが、やっぱり妊娠から出産時期は不安なことも多いですし、怖さもあります。妊娠も奇跡ですしね。しばらくは仕事を頑張りながら、子どもについても考えていけたらいいなと思います。

 

PROFILE MIZUHOさん

1986年生まれ。ガールズバンドグループZONEの元メンバーでドラム担当。2001年に『GOOD DAYS』でメジャーデビュー。『secret base〜君がくれたもの〜』が大ヒットし、紅白歌合戦にも3度出場。脱退を表明後、2005年4月にバンドが解散、その後はバーテンダーとして札幌市内で働く。現在の所属事務所は44プロダクション。プライベートでは1児の母。

 

取材・文/内橋明日香 写真提供/MIZUHO