<2.仏壇やお墓を引き継ぐルールってあるの?>
今までの日本では、仏壇やお墓を引き継ぐ者と言えば、「直系長男」と議論もなく決まっていました。
封建制度の時代、日本は遺産(主に土地)の分割・分散を防ぐため、その家の財産は全部長男が引き継いでいました。
現代でいう相続権は、長男以外全て無条件で放棄させられていたのです。
財産を全て引き継ぐ権利がある代わりに、一族を守る義務も引き継ぐ、というのが暗黙の了解で、お墓や仏壇も長男が守るべきものとして引き継いでいました。
しかし、実は長男がお墓や仏壇を引き継ぐ義務は、法律的には決められていないのです。 民法897条にも「仏壇や墓地は相続財産には含まれない」という記載がなされています。
そのかわりに「慣習に従って、祖先の祭祀(さいし)を主宰すべきものが(お墓や仏壇などを)引き継ぐ」とも書かれています。
ですが、あくまで「祭祀の主宰者」であり、「長男」と明記されている訳ではありません。
今までの慣習で、そう思わされていただけなのです。 もし、遺言で仏壇の引き継ぎ先を故人から指定されていなければ、長男は他の兄弟、例えば次男や長女などと相談して、仏壇の引き取り先を話し合うこともできます。
話し合いがまとまらないときは、家庭裁判所の審議にかけることもできるのです。
ちなみに、お寺側の意見としては、仏壇自体を引き継ぐというよりも、その中に収められている先祖の魂を引き継ぐということが大切なのであり、御本尊と位牌(いはい)に手を合わせる習慣さえ引き継ぐならば、誰が引き継ごうと問題はないのだそうです。 さらに、仏壇は親族のみが引き継ぎの対象だと思って(思わされて)いましたが、 1位:男子(長男・次男・三男)
2位:女子(長女・次女・三女)
3位:親族(おい・めい・いとこ)
4位:他人(故人の親友など) といった優先順位はあるものの、友人など血縁関係がなくても、仏壇を引き継ぐことはできるのだそうです。