公開中の映画『4月の君、スピカ。』で5年ぶりに映画を撮影した大谷健太郎監督。杉山美和子さん原作の人気少女コミックの実写化作品は、ドラマに続き2作目となります。主人公は高校生ですが、映画を観たら、すぐにあの頃の気持ちに戻れる作品に仕上がっているという本作。「大人にこそ観てほしい」と語る大谷監督に、作品の見どころや映画を通して伝えたかったことについて伺いました。
CHANTO読者には懐かしい、あの作品の話もちらっと登場しています!
—— 杉山美和子先生原作はドラマ(FOD)『花にけだもの』に続き2度目となりますが、杉山先生の原作から感じる印象について教えてください。
大谷監督
「女の子の願望を叶える」を描くことに長けた人です。先生はすごくチャーミングで、現場で俳優の芝居にキャッキャされたりもするのですが、それは女性がキュンとなるのはどういうことなのかを熟知されている証拠。反応がストレートでそういう感性を持っている方という印象です。その一方で、恋愛がスイートでロマンティックなだけじゃないことを表現し、痛みも苦味も容赦なく描いているところに「いいな」と共感を覚えました。『NANA』の映画化のときにもそんな気持ちを抱きました。可愛いだけじゃない、情けなさや未熟さもきちんと描かれている作品に惹かれます。
©︎2019 杉山美和子・小学館/「4月の君、スピカ。」製作委員会
—— 『4月の君、スピカ。』の原作を読んだときの感想を教えてください。
大谷監督
『花にけだもの』もそうだったのですが、言い方はよくないけどヒロインの学力が低いんですよ(笑)だけど、男の子はめちゃくちゃ頭も良くて、見た目もかっこいい。男子側からすると「参りました!」と言うしかないイイ男なのですが、そんな男子からも好かれるだろうと思えるくらい人物造形が行き届いています。そんなハイスペック男子が二人もいて、一人のそんなにスペックは高くない女の子を好きになる。女の子の夢の塊が描かれていると思いました。
ただ、そういうキャラクターでありながら、日常にあり得る、誰もが経験したことのある関係性のうつろいをリアルに感じられる作品です。