■「言うだけ」「いつも言う」はリスク大!
非常に強いインパクトを持つ「実家に帰らせていただきます」という言葉。夫婦喧嘩における「切り札」のようなものと捉えて良いでしょう。 しかし、夫婦喧嘩をするたびに、やたらと「実家に帰らせていただきます」を利用するのはオススメできません。言葉のインフレーションにより、意味がなくなってしまう可能性があります。 インフレーションとは、物やサービスの価格が上がり、それと共に現金の価値が下がることを言います。これまで100円で購入できていたジュースが、120円でしか購入できなくなったとしたら、「現金の価値が20円分落ちている」と考えることができます。 これと同様のことが、日本語にも起きると考えられています。特定の言葉を使う機会が増えれば増えるほど(価格が上がる)、本来持っている意味は伝わりにくくなってしまう(価値が下がる)というわけですね。 例えば「数十年に一度の災害」が毎年起きれば、「あぁ今年もか」なんて感じてしまう方も多いはず。その危険度は、正しく伝わらなくなってしまいます。 これと同じことが、「実家に帰らせていただきます」にも言えます。耳にする回数が多くなればなるほど、夫の心には「あぁ、またか」という気持ちが強くなってしまうのですね。「怒りや深刻さを伝える」という目的は、果たせなくなってしまいます。 また、たまにしか使用しなかったとしても、「口にするだけ」というのはあまりオススメできません。「どうせ言うだけだろう」という中途半端な印象を、相手に与えてしまいます。 「実家に帰らせていただきます」を伝えるのであれば、以下の条件をクリアしましょう。 ・これまでにはないほど、夫に対して怒りを覚えている
・実際に実家に帰る覚悟が決まっていて、それが実践できる環境が整っている このようなタイミングであれば、妻の「実家に帰らせていただきます」は、夫の心に刺さる一言と成り得るでしょう。
■「実家に帰らせていただきます」のデメリットについて
夫への怒りが抑えきれないときに、「実家に帰らせていただきます」と伝え、それを行動に移した場合、自分一人で冷静に考える時間を持つことができます。 夫と離れてみて、初めてわかることも多いはず。また自分自身を見つめ直すための、よいきっかけにもなるはずです。 しかし「実家に帰らせていただきます」と伝え、実際に実家に帰ってみると、「文句を言える相手がいない」「自分一人でもんもんと考え続けなければならない」という状況に、かえってストレスを抱えてしまう人もいます。 実家に帰るということは、相手との話し合いを放棄するということ。常にそれが、夫婦にとって良い方向へと導いてくれるわけではないのです。 また子どもを持つ母親が安易に子どもを置いて家を出ることは、オススメできません。その後夫と仲直りできれば良いのですが、いざ離婚となったときには、親権争いにおいて不利になってしまうことがあります。 子どもを置いて実家に帰るということは、「子どもを監護する意志がない」とみなされてしまいます。こうしたデメリットについても頭に入れた上で、冷静な対応を心掛けましょう。
■まとめ
妻から切り出される「実家に帰らせていただきます」は、夫にとっても強烈な一言になるでしょう。ここぞというタイミングで、そして本気で繰り出すことで、高い効果を期待できます。 しかしこの言葉にはメリットもあればデメリットもあり、まさに「諸刃の剣」といったところです。こうした側面もしっかりと把握した上で、自分の気持ちを伝える言葉を選択してみてくださいね。