若干18歳で自分の道を見つけたメアリー
小説『フランケンシュタイン』には、メアリーの思いが込められています。愛する娘を蘇らせたい、もう一度会いたい、そんな気持ちから死体で人を創り出し、怪物・フランケンシュタインを生み出してしまうのです。つぎはぎだらけのフランケンシュタインの風貌は、ボロボロになったメアリーの心を表しているようにも感じます。
驚くのは、メアリーが恋をして、駆け落ちして、出産して、子どもを亡くし……という経験を、16歳から18歳のたった2年間で経験してしまうこと。そして、『フランケンシュタイン』という傑作を若干18歳で生み出したことです。立ち直れないほどの悲しい経験をしても、「これは自分で選んだ道」と言えるメアリーの強さはお見事。ダメ男を選んだ自分が招いた結果という現実を受け入れ、自分のパワーに変える精神力は見習いたいところ。駆け落ちのときに一緒に連れてきた妹にもかなり悩まされるメアリーですが、見捨てることなく包み込む強さも持っていることなど驚かされることばかりです。
生きる時代や年齢は違っても、さまざまな経験を積み、自らの力で自分の道を見つけた人の言葉や生き方は、心に響きます。
文/タナカシノブ