甘えん坊のくんちゃん(4歳)は、生まれたばかりの妹・ミライちゃんに両親の愛情を奪われ、さびしさいっぱい。そんなくんちゃんが家の庭で出会ったのは自分のことを「お兄ちゃん」と呼ぶ未来からやってきた妹・ミライちゃん。ミライちゃんに導かれ、くんちゃんは時を超えた家族の物語へと旅立ちます。
第71回カンヌ国際映画祭・監督週間での上映や第42回アヌシー国際アニメーション映画祭2018長編部門コンペティションへの選出、さらには第76回ゴールデン・グローブ賞アニメーション映画賞にアジアから初ノミネート。日本でも第42回日本アカデミー賞優秀アニメーション作品賞に選出され、国内外で注目の細田守監督『未来のミライ』がいよいよDVD&Blu-rayで登場です!15年に渡り、細田作品を支え続ける齋藤優一郎プロデューサーに、作品そして細田監督の魅力についてたっぷりと語ってもらいました。
—— 細田監督から作品の構想を聞いたときの率直な感想を教えてください
齋藤P
「またすごいことを考えたな」と思いました。細田さんとは15年ずっと一緒に作品作りをしてきましたが、結構、仕事の話だけではなく、僕らの家庭や子どもの話をするんです。僕にも、イヤイヤ期真っ只中の下の子、2歳半の女の子がいるのですが、毎日、抱っこばかりしています(苦笑)。いまは大変でももう少ししたら、抱っこをしてと言ってくれなくなる、だったら今は出来るだけ沢山抱っこをしてあげようとか、そんな話もしています(笑)。
でも僕は、そんな家族や子どもとの日常を通して、今、細田さんが「なにを感じ」「社会をどう見ているのか」など、常に見つめている。『未来のミライ』は、何処にでもある日常の中に潜む、喜びや驚き、奇跡の先に、ものすごく大きなテーマがあってそこにたどり着くんじゃないか、そういった印象は企画の当初から感じていました。また一方で、作家として大きくフェーズが変わる作品になるんじゃないかとも思っていました。
—— アニメ作りはすべてが大変だと思いますが、細田監督作品だからこその「大変さ」というのはありますか?
齋藤P
大変という表現だと苦労話になってしまいがちですが、細田監督作品でいえば「誰もやったことがないものを映画で表現する」といった苦労という楽しさがあります。映画を作るということは恍惚と不安を常に抱えながらも、頂に向かって、愚直ににじり寄って行くことなんじゃないかと思っています。だったら、同じことをやるのではなく、常に新しいことにチャレンジをしたほうがいい。映画の可能性を信じて、常に前に向かって、新しいチャレンジをしてくというのが細田作品の醍醐味だと思っています。