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出産・育児に対して不安を感じたり精神的に不安定になる「マタニティブルー」はよく知られていますが、待望の第一子妊娠時、喜びのあまりテンションが上がってしまい普段なら考えられないような言動をしてしまうことを「マタニティハイ」といい、最近インターネットでも話題になっています。

 

マタニティハイになるのには、もともとの性格もありますが、自他ともに「妊娠中だけ明らかにおかしかった」と認めるケースもあり、ホルモンバランスの変化の影響もあると考えられています。

 

赤ちゃんの誕生はとてもおめでたいことですが、周囲に嫌な思いをさせないためにはどのようなことに気をつければいいか、また職場や友人の中で「マタニティハイ」と思われる女性に困った時はどう対処するか…を考えてみました。

目次

マタニティハイの珍行動


現在、出産を終えたママたちに「妊娠中、あれはマタニティハイだった…」と思う行動を振り返ってもらうと、色々な珍行動が飛び出してきました。

 

「マタニティマークをつけてソワソワしながらスーパーへ買い物に出かけたのですが、当たり前だけど一切何も起こらず。よく見ると、何人もバッジをつけた女性が歩いています。自分も当事者になるまで他人の妊娠に興味関心なんてなかったんだなぁと、世間との温度差を感じました。」(Mさん・27歳)

 

「夜遅くSNSで出産した人の投稿を見ていると気分が盛り上がってしまい、自分もつい謎のポエムのような連続投稿を…。それを見かけた姉が遠慮がちにつっこんでくれてハッと冷静になれました(笑)」(Fさん・26歳)

 

「妊娠後期になってもなかなか赤ちゃんの性別が分からず、その反動でしょうか…女の子と分かった瞬間から、かわいいベビー服を見ると見境なく買ってしまい、恐ろしい金額のカード請求書が届きました」(Rさん・29歳)

 

「私はぜんぜん涙もろいタイプではないのですが、妊娠中だけはお腹の赤ちゃんが将来結婚する日を想像したり、親子をテーマにした感動的なドラマを見たりするだけで号泣していました」(Yさん・30歳)

 

「お腹の赤ちゃんに胎児ネームをつけると良いと聞き、なんと呼ぼうか考えているうちに、なぜか“エンジェルちゃん”に決定してしまいました…!」(Uさん・28歳)

 

と、ママだけが盛り上がっているうちは微笑ましいのですが、子どもの一生がかかっている「名付け」となると、注意が必要です。

 

俗に「キラキラネーム」と言われる、子ども本人が日常生活に困るような名前や、アニメの登場人物と同じカタカナ名にしてしまうなどの例も。マツコ・デラックスさんの番組『月曜から夜ふかし』では、お母さんが外国人ではあるものの 「プリンセスキャンディ」と名付けられた女性が街頭インタビューに登場し、話題になりました。

 

ママ・パパも子どもの幸せを一生懸命考えているはずですが、名づけは考えすぎて分からなくなってしまうこともありがち。そこにマタニティハイの精神状態が重なると、平常ではまず選択しないような結論を出してしまうのかもしれません。

 

マタニティハイは妊婦さん(女性)特有のものと思いきや、意外と男性にも多いよう。夫婦で認識が共通しているのは素晴らしいことですが、キラキラネームを止める人がいないという事態につながる危険性があります。 

 

もちろん他人の意見を気にしすぎる必要はありませんが、「今までにないいい名前を思いついた!」というような時は、一度インターネットでその名前を検索してみるなどの工夫が必要でしょう。

 

マタニティハイが引き起こす、職場や友人への迷惑行為


妊娠中に多少テンションの高い言動があっても、夫婦の間ではそこまで不快に感じることは少ないかと思います。マタニティハイの迷惑が及ぶのは、おもに周囲の女性かもしれません。

 

職場や友人の困った言動をインタビューしてみると…

「同僚の女性が妊娠した時はかなりすごかったですね。何かにつけて“あ、その時期私、産休なんで”と必要ない時までアピールするし、仕事中に周りに聞こえるくらいの声でお腹の赤ちゃんに話しかけていて、ちょっと公私混同なのでは…と思いました」

 

という声や、

 

「お昼休みも話題・情報が妊娠出産に集中していて、関係ない話題まで無理やりそっちに持っていくのに閉口しました」

などの体験談が。

 

妊娠・出産特有の用語や環境に慣れてくると、そうでない人との感覚の違いが分からなくなってくることもあります。

 

「SNSに、陽性の妊娠検査薬の写真をUPした芸能人が話題になりましたが、胎児のエコー写真なんかも本来はすごくプライベートなものですよね?友人が頻繁にSNSにアップするのですが、第3者には正直よく分からないし、コメントもしづらいです」という声も。

 

産後も、育児の現場では頻繁に飛び出す「ウンチ」「おっぱい」など、一般的には口にしないであろう単語をランチタイムに言ってしまう…といった感覚の違いには注意したいですね。

 

そして、もっとも周囲の女性を傷つけたり不快にさせるのが、妊娠中という立場に立った途端に「上から目線」になってしまうこと。

「早く子ども作った方がいいよ!」「やっぱり子ども生むのが一番の幸せだって分かった」など、出産をすすめる発言は、自分にとっては大発見であり善意で言っているとしても、相手の状況によってはとても傷つけてしまう言葉になります。

あなたの職場にもいる?「マタニティハイ」女性への対策


周囲が引いてしまうようなマタニティハイ時期の言動も、あとになって気付き反省する人がほとんどですが、マタニティハイの最中には、周囲から指摘されて目が覚める人と、まったく意に介さない人がいます。

 

「今だけだから」と付き合いながらやり過ごせれば一番ですが、向こうから頻繁に連絡をしてくる場合や、あまりにも思いやりのない場合は、できるだけ距離を置き、自分の心を守ってほしいと思います。

 

「マタニティハイ」という言葉自体を知らない人も多いので、「いつもは話が分かる子なのに…」とあなたがモヤモヤしているなら、サクッと「マタニティハイじゃない?」と言ってみる方がすっきりするかもしれません。

 

また、妊婦さんの側も自分がマタニティハイで誰かを傷つけていないか時々振り返ることが必要。

 

自分が接する相手の状況を一人ひとり思い浮かべてみましょう。特に、不妊治療や習慣流産を含む流産経験は身内にしか話さない人が大多数です。二人目が授からなくて苦しんでいる人もいるので、「この人はお子さんがいるから大丈夫」等と思い込まないことも大切です。

「マタニティハイ」のまとめ


「マタニティブルー」になるのには、出産という未知の経験への本能的な恐怖も原因のひとつだと言われています。精神的な不安以外にも、妊娠中にはさまざまなマイナートラブルや体の辛さを経験します。「マタニティハイ」は、それらを和らげる一種の防御反応といえるのかもしれません。

あくまでもマタニティハイはママ自身や夫婦間がハッピーになる方向にとどめ、周囲への配慮は忘れずに妊娠期間を過ごせるといいですね。

 

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文/高谷みえこ