今回は誰もが利用する駅を取り上げます。普段、何気なく通り過ぎる駅ですが、いろいろなタイプの駅があります。この記事を読めば、駅に対する考え方が変わるかもしれませんよ。

駅は何で分類するとわかりやすい?

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1.駅員がいるかいないか

駅をグループ分けしようと思うと、いろいろな分け方があります。一番オードックスなやり方は駅員がいるか、いないかで分けることです。ターミナルや都会の駅では、その路線を運営する鉄道会社の社員が駅にいることが多いです。このような駅を「有人駅」といいます。

 

一方、同じ駅員でも鉄道会社の社員ではなく、地域の人が駅で働いているケースが見られます。このような形態は「委託駅」と呼ばれ、地方ではよく見られます。ローカル線に乗ると、誰も駅員がいない駅を多く見かけます。「人が無い」ことから「無人駅」と呼ばれ、最近では都会でも時間帯によって「無人駅」になることがあります。

 

もう少し「有人駅」を見ていきましょう。同じ駅でありながら、2社によって運営されている駅があります。たとえば、東海道新幹線と山陽新幹線の起点駅であるJR新大阪駅はJR東海(新幹線)とJR西日本(在来線)によって運営されています。今度、東海道・山陽新幹線に乗車したら、駅員の制服をチェックしてみましょう。

2.興味深い駅の配線について

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今度は駅の配線について考えていきます。「配線」と考えると、難しく思えますが要するにいくつホームがあるか、どのように線路が配置されているか、というお話です。

 

まずはシンプルな駅から見ていきましょう。地方に行くと、1つのホームの前に1つの線路(単線)が敷かれている駅があります。このような配線を「1面1線」といいます。「面」はホーム、「線」は路線を指します。

 

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たとえば、上の図を見てください。単線で列車交換をするために、1つのホームと2線がありますね。この配線は「1面2線」です。

 

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次に複線を見ていきます。特急や急行などの優等列車が運行されている路線では、速い種別(特急や急行)が遅い種別(普通)を追い抜く必要があります。追い抜き設備がある駅がないと特急や急行は普通の後追いになるため、ノロノロ運転になります。追い抜き設備のある駅で最も一般的なのが2面4線です。この配線ですと、優等列車と普通列車の間で相互に乗り換えができます。

 

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こちらは旧国鉄で多く採用された2面3線の一例です。京浜東北線の東十条駅のようにホームとホームの間に線路があるタイプも見られます。東十条駅折り返し電車はホームの間にある中線を使って折り返します。私鉄では東武鉄道でよく見かけます。

3.ユニークなサービスを行っている駅

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駅は単なる通り過ぎる場所と思っていませんか。実は駅はとても便利なところです。最も利用しやすいサービスは「駅そば」でしょう。今でもターミナル駅には「駅そば」があり、格安でおいしいそばやうどんが楽しめます。「駅そば」こそ、日本初のファーストフードのような気がします。

 

東京駅には何と美術館(東京ステーションギャラリー)があります。それも、企画展が頻繁に行われる本格的なもの。列車を待っている合間にゆったりと名画を鑑賞できます。美術館内は時計が少ないので、乗り過ごしのないようにご注意ください。なお、東京ステーションギャラリーは改札外にあるため、列車に乗らなくても入館できます。

 

個人的に気に入っているのが大阪モノレールの「モノドリンク」や「モノ文庫」。駅のコンコース内に自動販売機やイス、テーブルが置いてあります。缶コーヒー片手に駅で一息つけるのは本当に助かります。その横には本棚がある「モノ文庫」があり、本を自由に借りることができます。このようなユニークなサービスがもっと広まれば、と個人的には思っています。

将来は駅自体が観光スポットになる?

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ここで、駅の将来について考えてみましょう。まず、駅の無人化がさらに進むことが予想されます。現に九州新幹線の一部の駅ではホームの無人化が行われています。また、都会にある駅でも時間帯によっては無人になるところも。また、JRでは「みどりの窓口」の代わりに、新幹線や特急列車の切符が購入できるみどりの券売機の設置も進んでいます。もしかすると、駅員がいるのはターミナル駅のみになるかもしれません。

 

一方、ターミナル駅や魅力ある地方の駅は観光の拠点として整備されることでしょう。観光案内所の設置はもちろん、駅自体が観光スポットになることも十分、考えられます。 いずれにせよ、今後、駅は大きく姿が変わると思います。どのような変化をどけるか、今から楽しみですね。

 

取材・文・撮影/新田浩之