想像と違っていただけ…
ジーナの視力がだんだん回復していく様子を感じられるのも、ストーリーに入り込めるひとつの要因です。光や色がぼんやりと滲むジーナの視界を体感しながら、“見える”ことへの期待、不安を読み取ることができます。
2人の夫婦関係は、ジーナが“見えない”ことでバランスを保ち成り立っていたとも言えます。“見える”ことをきっかけに、「想像していたのと違った」と感じる部分が出てきてしまうのです。こういう発見は、ジーナのように目が不自由という状況でなくても、男女関係ではよくあることではないでしょうか。付き合ってみたら、一緒に暮らしてみたら、結婚してみたら…、「想像していたのと違った」と。2人の関係が切ないのは、“見える”という願った結果がきっかけで、想像と違った…と気づいてしまったことなのです。