サスペンス映画かと思いきや、そうじゃない
監禁されながら一人で息子を育てる…なんて想像するだけでもうダメです…。 でも、主人公の5歳の息子にとって「世界」はこの部屋だけ。「ドアの外には何もない」とママから教えられているので、薄暗く狭い部屋の中でも本人は楽しく過ごしているんです。ただ、ママとしては自分たちの未来を守るためには脱出しないといけないと決意し、脱出作戦を実行します。
失敗したらもう二度と息子とは会えないでしょう。それでも何とか脱出してハッピーエンド… かと思いきや、これはまだ前半なんです。「監禁部屋から脱出する話」かと思っていたら、全然違ったんです…実は脱出してからが、この映画の本番なんですよ!
脱出した親子の前に立ちはだかる社会という壁
息子・ジャックの決死の脱出作戦が成功して「部屋」を後にしたふたり。外に広がる現実の「世界」に触れて自由を手にし、幸せになるかと思いきや…、”誘拐被害者”として好奇の目で見られ、傷ついていきます。 それでもママは息子のために、「部屋」ではできなかった遊びを教えたり、若い頃の写真を見せたり、テレビのインタビューに出演したりと奮闘。しかし、その度に自分たちの置かれた状況に苦しめられ、未来が見えなくなってしまいます… あの「部屋」で過ごしていた時のほうが、ふたりにとって幸せだったのだろうかとさえ思ってしまうほど、社会という厳しく高い壁が立ちはだかりました。