疲れた中年ヒーローが主人公の異色アニメーション
これまでディズニー/ピクサー作品といえば昆虫やオモチャやモンスターが主人公の映画が多かったのですがこの作品の主人公は人間です。なんなら、中心人物は中年のオジサンです。
保険会社で働いていますが成績は悪く、上司に叱られる毎日。ヒーローとして活躍していた昔との落差が半端なく、毎日の生活に覇気がありません。なんでしょう、この切ない主人公は。完全に疲れたサラリーマンです。そりゃ世の中のお父さん全員がやりたい仕事をやっているわけじゃないでしょう。“映画コメンテーター”という趣味の延長のような肩書きを持つ僕だって、時には地獄のような仕事があります。海外ドラマのシーズン1~8まで三週間で全部見ろ!みたいな無茶な仕事だってあるんです。それでもお父さんは働きます、家族のために。息子の好きなチャーハンか肉、お腹いっぱい食べさせてやろうじゃないか。
しかし、この物語の主人公は“輝いていた過去の栄光”がどうしても忘れられません。イケイケだったヒーロー時代…、誰からも尊敬され、充実していた日々…。そして、そんな悩みを汲んでくれる人間は家庭内にはいません。あぁ、切ない! そのため、やりがいを求めて家族に嘘をついて“ある仕事”に手を出してしまいます。 その結果、家族は大変な事に! あぁ、もうバカ! でも気持ちはちょっと分かる! お父さんの悲哀が溢れまくりです。