歪んでいく兄弟・姉妹関係

 

メインカットS
(C)2018「犬猿」製作委員会

 

和成はワルな兄・卓司のことを「ダメ男」と見下しています。はっきりと態度に見せないところがこれまた厄介なところなんです。ひょんなことから、新しく始めた事業が大成功し、金回りが良くなった兄・卓司の今を素直に喜ぶことができません。

 

和成は借金の連帯保証人となった父親のために毎月コツコツ貯金をし、安い給料の中から両親にお金を渡してきました。それを卓司が一括返済してしまいます。借金の悩みは消えても、兄の成功を認めたくない気持ちが溢れてくるのです。一方の兄は、一括返済をしたのは自分なのに両親が頼るのは弟の和成という現状に寂しさを感じています。

 

幾野姉妹もお互いにコンプレックスがあります。由利亜は真子を見た目だけの女、中身は空っぽと見下しています。しかし見た目だけと言われる自分に嫌気がさしている妹の真子は、頭が良くて何でもできるしっかりものの由利亜を羨ましいと思っているのです。この兄弟・姉妹は、お互いの長所・短所を知り尽くしているにも関わらず、素直に認められない歪んだ関係なのです。