よく列車を観察している子供ですと「クハ」とか「モハ」とか、さらに列車の下に書かれている数字に気づくと思います。気づく分ならまだしも、子供から質問が来たら困りますよね。今回は「クハ」や「モハ」などの車両番号を解説します。車両番号を知っておくと、列車を見るのが子供に限らず、大人でも楽しくなるでしょう。

列車の車両番号を解説!
最もオーソドックスな国鉄~JRの電車の車両番号

まずは最もオーソドックスな国鉄からJRにかけての電車の車両番号を見ていきましょう。おなじみの「クハ」とか「モハ」はこれに該当します。たとえば、通勤電車の「クハ201-137」を取り上げてみましょう。下記の解説をご覧ください。

「クハ201-137」の読み方

・「ク」=制御車

ク=制御車 「ク」は運転台がある電車のことを指します。つまり、運転台のある電車であれば必ず「ク」が付いていることになります。なお、モーターが付いている場合は「モ」、モーターも運転台もない車両は「サ」です。地方に行きますと「クモハ」の車両をよく見かけますが、「クモ」なので運転台とモーターが付いている車両になります。

・「ハ」=普通車

ハ=普通車 「ハ」が付いていたら「普通車」と覚えておきましょう。特急列車の普通車も「ハ」で表します。なお、グリーン車が付いている車両は「ロ」です。お気づきでしょうか。クラスの記号は「イ・ロ・ハ」に基づいているわけですね。

・「2」=直流

2=直流 ここから数字です。百の位の数字は少しややこしいです。JRでは直流と交流という2つの電気が使われています。直流区間を走る電車は1~3、交流区間を走る電車は7~8、直流、交流、両方走れる交直流電車は4~6です。この場合は「2」ですから、直流区間だけ走れる電車になります。このように書くと「すべての電車を交直流でつくればいいのでは」と思うでしょう。交直流の電車は直流、交流、両方の設備が必要なのでコスト的に高くつきます。全てを交直流でつくることはコスト的に難しいわけです。

・「0」=通勤・近郊型

0=通勤・近郊型 十の位はその電車の使い道を表します。0~3が通勤・近郊型、5~8が特急・急行型です。2018年現在、JRに急行型の車両はほとんど残っていません。なお「近郊型」とは線路と垂直に座席が配置されているクロスシートの車両を指すことが多いです。線路と平行に座席が配置されているロングシートが混ざったセミクロスシートも「近郊型」に分類されます。なお、ロングシートのみの車両は一般的に「通勤型」にカテゴライズされます。

・「1」=区別

1=区別 一の位は十の位、百の位と比べると、とても曖昧です。一の位は車両の分類分けに使われ、製造年が古い順から数字が増えていきます。数字は基本的に奇数が使われます。たとえば、20○シリーズを順に書き出してみましょう。

 

201系:製造年1979年 203系:製造年1982年 205系:製造年1985年 207系:製造年1991年(207系900番台は除く) 209系:製造年1993年

 

なお、201系を見ると「200」と書かれた車両を見つけるかもしれません。「奇数から-1」の数は同じタイプの車両だと思ってください。つまり、201-1=「200」は201系にカテゴライズされます。

・「-137」=製造番号

-137:製造番号 「-」より先の数字は製造番号を表します。ただし、先ほど見た3桁の数字できちんとした分類分けができない場合は「番台」と呼ぶ数字を付け加えることでカテゴライズすることもあります(例223系2000番台)

気動車(ディーゼルカー)の場合はどうなるの?

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次にエンジンで動く気動車(ディーゼルカー)の場合を見ていきましょう。まず、ディーゼルエンジンが付いている車両には「キ」が付きます。「キハ」とか「キロ」という感じですね。電化されていない区間の車両を見渡すと、ほとんどの車両に「キ」が付いていると思います。

 

つまり、非電化区間を走っている多くの車両にはディーゼルエンジンが搭載されています。なお、気動車の場合は電車とは異なり、運転台が付いているかどうかの区分けはありません。おそらく、多くの気動車には運転台があるので、いちいち区分けすることもないのでしょう。

私鉄はどんな区分けをしているの?

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私鉄は私鉄で、それぞれ独自の基準で車両を分類しています。最もポピュラーなのは暗証番号のように4桁の数字を使うやり方です。また、国鉄~JRに似ているようで似てない車両番号もあります。

 

たとえば、近鉄や名鉄ではクラスである「ハ」や「ロ」を外して「モ8000形」のように表します。また、動力車を表すために「デハ」を使う私鉄も多いです。 変わり種の車両番号は第三セクターに多いです。

 

兵庫県を走る第三セクター、北条鉄道では「フラワ1985-1」や「フラワ2000-2」と付けられています。「フラワ」は北条鉄道が本社をおく加西市にある兵庫県立フラワーセンターから、数字は導入された年を表しています。

 

ぜひ、列車に乗る際は子供と一緒に車両番号にも注目してみましょう。

 

取材・文・撮影/新田浩之