ゴダールが出ればやっぱりおしゃれ!

 

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© LES COMPAGNONS DU CINÉMA – LA CLASSE AMÉRICAINE – STUDIOCANAL – FRANCE 3.

ファッション、インテリアがとにかくおしゃれ!ポップでカラフルでコケティッシュ。見ているだけでハッピー気分になります。アンヌ演じるステイシー・マーティンはフレンチ・アイコンという言葉がぴったり。圧倒的存在感で、この作品に彩りを与えています。ただフランスパンをかじっているだけなのに、おしゃれ感が漂ってきます。

 

さらに、ゴダール演じるルイ・ガレルは、本物そっくり!と話題になりました。実は、ルイ・ガレルの父親はかつて“ゴダールの再来”と称された映画監督フィリップ・ガレル。さらに、フィリップ・ガレル監督作『秘密の子供』にはアンヌ・ヴィアゼムスキーが主演しているという縁もあるということを頭に入れて作品を観ると、不思議なつながりを感じるかもしれません。

 

ルイ・ガレルが生まれたとき、ちょうど父親とアンナが撮影中だったこともあり、一緒に病院へ駆けつけた!なんてエピソードも!ルイがゴダールを演じるのは運命だったのかもしれません。

 

映画監督、恋人、夫。どのゴダールがお好きですか?

 

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© LES COMPAGNONS DU CINÉMA – LA CLASSE AMÉRICAINE – STUDIOCANAL – FRANCE 3.

『グッバイ・ゴダール!』では、さまざまな顔のゴダールを見ることができます。映画監督としてのゴダール、プライベートのゴダール、コミカルなゴダールに嫉妬するゴダールなど。

 

映画界の革命児としての顔は、私たちがよく知るところですが、ゴダールも同じ人間。才能溢れる人でも、私たちと同じような理由で嫉妬したり、悩んだりするのです。夫婦が抱える問題なんてどこも似たり寄ったり。ゴダールの人間的部分を垣間見てホッとするシーンがいくつも登場します。

 

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© LES COMPAGNONS DU CINÉMA – LA CLASSE AMÉRICAINE – STUDIOCANAL – FRANCE 3.

もちろん、「映画監督ならでは」と感じる部分もあります。全編全裸シーンという映画のオファーがアンヌに来たときのこと。アンヌの代わりに断りの電話を入れたゴダールですが、相手の監督が妥協案を提示すると「この作品はヌードじゃなければ意味がない!」と熱く説教し始めるのです。夫としてよりも監督としての熱量が超えてしまった瞬間です。こんなとき、ミューズとして監督を評価すべきか、妻として夫に抗議すべきか…迷うところではありますよね。

 

ゴダール映画に詳しくないなら、まずは、この作品からゴダールに触れてみるのもいいかもしれません。本来のゴダール映画とは一味違う、ちょっと甘酸っぱいおしゃれなラブストーリー。色褪せない60年代フランスのポップカルチャーとともに、堪能してみては?

 

文/タナカシノブ