大切なのは体のサイズではなく自分自身が変わること

 

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(C) 2018 PARAMOUNT PICTURES. ALL RIGHT RESERVED.

夢のような豪邸、十分すぎる財産など、幸せになるためにダウンサイジングを選んだポールですが、小さくなって気づいたことがあります。それは、体のサイズは変わっても、自分のサイズと同じ世界がそこにあるということです。つまり、体の大きさが変わっても、自分自身が変わらなければ、本当の意味での幸せは掴めないのです。

 

贅沢な生活を送っているように見えますが、よくよく考えてみると、小さくなる前の通常サイズの世界の片隅、欠片の中で生きているのです。これってかなり皮肉な絵面ですよね。贅沢なのにとてもちっぽけに見えちゃうのです。

 

小さくなっても新たな悩みや葛藤は生まれます。ポールは、政治犯としてダウンサイズされたノク・ラン(ホン・チャウ)と出会い、人生に大切なもの、本当の幸せについて、自分が求めていたものに気づき、自分自身の選択により、新たな人生を歩むこととなるのです。

 

冴えない中年でもカッコイイ

 

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マット・デイモンといえば、「ジェイソン・ボーン」シリーズや「オーシャンズ」シリーズ、『オデッセイ』などで、頼れる、たくましい、カッコイイ、クールといった役どころを演じています。しかし!『ダウンサイズ』では、どこにでもいそうな普通の冴えない中年男性をとても自然に演じています。悩むし、凹むし、揺れるし…とカッコイイところはほとんどないのですが、こんなマットもあり!ですよね。

 

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ホン・チャウの完璧ではない英語は、気持ちがストレートに伝わってくる力強さがあります。クセの強いキャラクターを演じるクリストフ・ヴァルツのさすがの演技力にも注目してください。ちょっと胡散臭い感じが、ピタッとはまっています。

 

ダウンサイジングが可能になる世界。近い将来やってきそうな気もしなくもありません。もし、そのような未来が来たら、みなさんは小さくなることを選びますか?

 

文/タナカシノブ