「カウンセリング」ときいて、どんなものを思い浮かべますか? 精神科医とえんえんと苦しい話をしなければならないもの、または、海外ドラマ映画にあるように、自分をあけすけに語らなければならないもの……。そういうものばかりでも、ないようです。
私もはじめは、自分にカウンセリングなど必要ないと思っていたし、以前何度か心療内科でカウンセリングを受けたことはありましたが、思うような効果の実感がなかったため続かず、「カウンセリングは自分には向かない」と信じ込んでいました。 ところが、「『認知行動療法』なら、いいかもしれない。考えの幅が広がるよ!」とすすめられ、半信半疑で通い始めてみたところ、これがとても合っており、バツグンに生きやすくなりました! 最近話題の「アンガーマネジメント」もそうですが、怒りや辛さとうまく付き合い、感情をコントロールできるようになると、肩の力がうまく抜け、気持ちが楽になりますよ。
カウンセリングのひとつである、認知行動療法。 向き不向きはあると思いますが、私が体験してみてよかったところを、ご紹介したいと思います。
認知行動療法、ここがよかった!
これが、まだ認知行動療法に通いはじめる前、私が抱いていたイメージです。
・自分のことをあまり他人に喋りたくない ・なにを話せばいいのかわからない、話すことがない ・ただ話をきいてもらうだけで診療代をとられたくない ・よくわからない心理テストで病名を付けられたくない ・効果があるのかないのか、よくわからない ・薬は飲みたくない ・通う時間がない
一年通ってみて、このようにイメージが変わりました。
・自分のことをあまり他人に喋りたくない
→話すことを強要されることはありませんでした。
・ただ話をきいてもらうだけで診療代をとられたくない
→一方的に患者が話すのではなく、心理士と共同でワークシートを埋めていきます。
・よくわからない心理テストで病名を付けられたくない
→心理テストや病名の診断はありませんでした。
・効果があるのかないのか、よくわからない
→通い始めた頃のワークシートと現在のものを比べると、明らかに認知の幅が広がっており、変化があったことが目に見えてわかります。
・薬は飲みたくない
→薬の処方はありません。
・通う時間がない
→一ヶ月に二度、一時間のカウンセリングでした。たしかに、スケジュール的に厳しい部分はあるかもしれませんが、定期的に通うことで効果を実感できました。また、予約制の病院だったので、待ち時間はゼロでした。
もっとも良かったのは、こちらが一方的に話す必要がない、というところ。 ただやみくもに辛かったり、気分がしずんでいる時は、その原因は自分自身にもわからないもの。そのモヤモヤした気持ちを、心理士さんと一緒にワークシートを使い、イチから整理し、ひとつひとつの感情や認知を分析していきます。 ひとつの気持ちに対し、ワークシートの多様な質問項目に沿って深く考えたり想像したりしていると、不思議と作業が終わる頃には、「なんだ、わけもわからず不安だったけれど、書き出してみると、実はたいしたことないじゃん!」と気づき、心が軽くなりました。
自分一人で自分の胸の内を掘り下げてゆくのは気が滅入るし、考えが堂々巡りしてしまうこともあるかもしれませんが、プロの心理士さんと力を合わせること、規定のワークシートがあることが、感情や認知を正しく理解することの助けとなるのです。
デメリットといえば、定期的に通う時間をとるのが難しいところと、保険外なので診療費が高いところでしょうか。
認知行動療法は、トレーニング
認知行動療法は、スポーツのようなひとつの「トレーニング」だと感じます。 怒りや悲しい気持ちにいつまでも引きずられ、普段の生活さえままならなくなってしまわないよう、別の視点を持ったり、視野を広げたり、うまく気持ちを切り替えられるようになるかは、訓練次第。トレーニングを積んで慣れてゆけば、徐々にそのスピードも速くなり、たとえ落ち込んでも、パッと気持ちを立て直すことができるようになるのです。
私も、以前はいつまでもくよくよと暗い気持ちや根拠のない不安にとらわれてしまうことがありましたが、トレーニングのおかげで、そういった気持ちをだいぶうまくあしらうことができるようになったように感じます。 もちろん、いまも落ち込むことは多くありますが、「まぁ、いいか」と思えるようになるまでのスピードが格段に上がりました!
ストレスで緊張や不安感が続いているような気がしたり、何をやっても「自分はだめだ」と落ち込みやすかったり、しょっちゅう人と比べてしまったり、生きづらさを抱えていたり……そんな方々には、偏見を持たず、まずは試しに、認知行動療法のカウンセリングを受診なさることを、経験者としておすすめします。
CHANTOママライター/草間小鳥子