引き込まれる不思議な世界観

 

©2018 『猫は抱くもの』製作委員会

 

人間が猫を演じ、猫目線で描かれるシーンは、舞台のように演出されます。人間目線で描かれるシーンは、いわゆる実写で表現されています。そして、躍動感あふれるアニメーションを挿入するという演出もあり。演出方法がこれだけあるのに、違和感なくまとまりのある作品に仕上がっています。

 

「沙織が誰を好きでも、ずっと一緒にいるよ」

 

こんな言葉をかけてもらえるのは、良男が猫だからこそ。人間だったらこんな風にはいかないですよね。思い描いていた自分になれず、自信をなくしているとき、特別な言葉はなくても、ただそばにいてくれる、良男はまさに理想の恋人のように描かれています。現実にはこんな人、なかなかいないですよね。

 

実写の猫よりも擬人化の猫の方が多く登場する新しいタイプの猫映画ですが、癒し効果は抜群です。さらに、沙織のように、毎日歯を食いしばってがんばっているアラサー女子に勇気を与えてくれる作品でもあります。

 

疲れた心と体を癒し、元気になるパワーがもらえる映画、がんばっているママにもおすすめですよ。

 

文/タナカシノブ