機械じゃなくて、人の目で見る

機械に頼らず、人の目でしっかりと各工程や焼き上がりを見極めて作られているのが高級パン。材料の計量、温度・湿度の管理など、すべてにおいて徹底されています。

 

とくに、室温やパンの材料をこねてからの温度、仕込み時の水の温度など、小さな温度変化によって、食パンの焼き上がりは大きく異なってきます。生産効率を度外視し、季節や天候に応じて温度や湿度を都度細かく管理するという職人の手間があるからこそ、時間が経ってもしっとりとおいしい食パンが生まれるのです。

 

熟練した職人技によって計測されていきます

 

焼きあがったパンに気泡ができず美しい見た目になるように、ハサミでカットします

嵜本の食パンは、各工程で職人たちが前に張り付き、発酵から取り出すタイミング、パンを焼く前に入れるタイミング…と、各タイミングを目視で見極めてつくられています。

 

パンは、生き物。焼きあがりは慎重に取り扱います

嵜本のパンはとてもやわらかくて繊細なので、最後に網にあげるときに、網のあとがついてしまいます。焼きあがってから型から出す作業も、熟練の職人技のもとに成り立っています。

発酵が進んでいなかったときにできやすい角の「ホワイトライン」
焼印を押して、完成です

また、焼き上がり後も細かく厳しいチェックで剪定されます。例えば角の白くなっている部分「ホワイトライン」が太すぎるのは、発酵の度合いが進んでいなかった証拠。嵜本では食パンとしては販売できないため、ラスクとして販売しています。

 

一つひとつ、確かな目で確認していく

「人の目」といういちばん確かなフィルターを通じ、一つひとつていねいに作られているからこその価値が、そこにあります。それが、嵜本の場合は高級パンたるゆえんのひとつなっているようです。 

 

取材協力・高級食パン専門店 嵜本

「極美“ナチュラル” 食パン(2斤950円)」と「極生“北海道ミルクバター”食パン(2斤1100円)」を二大看板とする高級食パン専門店。他にも限定食パンやオリジナルジャムなど数多く取り揃える。

取材・文/松崎愛香 写真/田尻陽子