コロナ禍で炭酸水メーカーの売上が右肩上がりとなっています。

 

「健康意識への高まりや、ペットボトルの買い置きが必要なくなりゴミも減らせることなどが理由で購入を決定される方が大幅に増えております」(ソーダストリーム)

 

これまで安全上の理由から入れることができなかった炭酸飲料の持ち運びを可能にしたステンレスボトルの誕生の理由や、身近な疑問についてタイガー魔法瓶に伺いました。

開発の鍵は、禁止する理由を紐解くこと

──炭酸飲料対応のステンレスボトルを開発した経緯について教えてください。

 

タイガー魔法瓶 広報宣伝チーム:

以前より「水筒に炭酸飲料を入れたい」というお客様からのお問合せを多くいただいていました。当社の従来の真空断熱ボトルは構造上、ボトル内の圧力が上がるとキャップやふた等の破損や破裂のおそれがあるという構造上の安全性の観点から、炭酸飲料を入れて持ち運ぶことを推奨しておりませんでした。

 

そこで、既成概念に囚われず「禁止とする理由」を紐解いたうえで、それらを解決する炭酸対応せんの開発に至り、炭酸飲料対応の真空断熱炭酸ボトルを今年1月から発売しております。

真空断熱炭酸ボトルに炭酸水を入れる様子

 

──具体的には、従来のステンレスボトルとはどのような点が異なるのでしょうか。

 

タイガー魔法瓶 広報宣伝チーム:

「炭酸ガス抜き機構」と「安全弁」を備えた当社独自のせん構造「BubbleLogic(バブルロジック)」を開発することで炭酸飲料の持ち運びが可能になりました。

炭酸対応の真空断熱炭酸ボトル

 

「炭酸ガス抜き機構」は、通常使用時にキャップを閉めている際は炭酸ガスをボトル内にしっかり閉じ込めていますが、キャップ開栓時には炭酸ガスを先に抜く機構です。中身の噴き出しや飛び散りを防ぎ、軽い力で開けることができます。

 

「安全弁」は、真夏の車中放置などで温度が著しく上昇するなど、万が一、ボトル内の圧力が異常に高まった際に作動して自動でボトル内の炭酸ガスを逃がす構造となっています。キャップが飛んだり、中身が噴き出たりするのを防ぐことができます。

 

──コロナ禍で誕生した炭酸対応ステンレスボトルですが、どのようなシチュエーションでの利用を想定して作られたのでしょうか。

 

タイガー魔法瓶 広報宣伝チーム:

個人利用に最適な500ml/800mlと、複数人でシェアする利用に最適な1.2L/1.5L4サイズをご用意しており、500ml/800mlは、スポーツ観戦やレジャー、オフィスやテレワーク時の個人利用などを想定しています。

冷えた状態でビールなどを持ち運ぶこともできる

 

大きめの1.2L/1.5Lのものは、密を避けられるとしてコロナ禍で注目を集めるアウトドアやキャンプなどで別途グラスなどに注いでご利用いただくのに便利です。また昨今増えている、クラフトビール店などのテイクアウトにも利用することができます。

なぜ牛乳は入れてはいけない?気になる疑問をメーカーに聞く

──炭酸飲料対応ではなく、通常のステンレスボトルを使用する際に入れるのが好ましい飲み物と、逆にふさわしくない飲み物はありますか。

 

タイガー魔法瓶 広報宣伝チーム:

水やお茶はもちろん、コーヒーや紅茶を入れていただけます。スポーツドリンクも入れていただけますが、使用後すぐのお手入れをお願いしております。

 

劣化の点からは、牛乳・乳飲料や果汁・果肉の入ったドリンク、および味噌汁やスープ等の塩分が含まれるものは入れないよう取扱説明書内で注意喚起を行っております。せんの破損や、飲み物の吹き出しの恐れがあるため、通常の真空断熱ボトルに、炭酸飲料を入れることも禁止をしております。

──牛乳が入ったカフェラテを入れて持ち歩きたい方も多いのですが、なぜ入れてはいけないのでしょうか。

 

タイガー魔法瓶 広報宣伝チーム:

牛乳や乳飲料、果汁などは腐敗する恐れもございますし、長く放置した場合には腐敗や変質により、ガスが発生して本体の内圧が上がることでせんや蓋が開かなかったり、飲み物が吹き出たり、部品が破損して飛散する危険もございます。また、塩分の入ったものは腐敗や変質、サビの恐れがありますので控えていただくよう注意を呼びかけております。

感染症への意識が高まるなか業界初SIAAマークを取得

──これからの季節は、直接口をつけて飲むタイプのステンレスボトルの衛生面が心配です。

 

タイガー魔法瓶 広報宣伝チーム:

6時間後でも冷たさを感じる温度を保つことができる性能を保持しておりますが、できるだけ早く飲みきっていただくことを推奨しています。

 

ステンレスボトルとしては国内で唯一、抗菌製品技術協議会が制定したSIAAマークを取得している抗菌加工せんを搭載した商品もございますが、こちらは成型の際に抗菌剤「銀系無機抗菌剤」をプラスチックに練り込んで開発しました。

 

※すべての当社ステンレスボトルに抗菌加工せんを搭載しているわけではございません。また、抗菌箇所は、商品によって異なります。

SIAAマークを取得した抗菌加工せん

 

抗菌加工を施したせんの抗菌効果を検証すべく、試験片を温度 35±1℃、相対湿度90%以上で24時間培養して行った実験では、黄色ぶどう球菌は99.9%減少し、大腸菌は99.999%減少しているという結果が得られました。

 

2020年11月より販売をスタートしておりますが、感染症への意識が高まっているなかでより安心してご利用いただけると思います。

 

──ステンレスボトルを清潔に保つためのお手入れ方法を教えてください。

 

タイガー魔法瓶 広報宣伝チーム:

まずは、使用後にパーツ別(本体・せん・パッキン)に分解してください。それぞれのパーツは、柔らかいスポンジに台所用洗剤をつけて洗います。本体の奥まで洗うには、柄のついたスポンジがあると便利です。最後に水ですすいだら、水分を拭き取って充分に乾かします。

 

茶渋などこびりついて取れない汚れやコーヒーなどの匂い残りがあるときは、ステンレス製ボトル用の洗浄剤を使っていただくことを推奨しております。

小さなアクションから持続可能な社会へ

──SDGsなどが注目を集めていますが、国内有数のステンレスボトルメーカーとしてどんなことを発信していきたいですか。

 

タイガー魔法瓶 広報宣伝チーム:

近年、SDGsやサステナブルな取り組みが注目をされ、エコの意識でマイボトルを持たれる方が増えておりますが、弊社は20207月に、健康・人権・環境に配慮したものづくりの方針を「タイガーボトル 4つの約束」としてNO 紛争鉱物・NO フッ素コート・NO 丸投げ生産・NO プラスチックごみを宣言しました。

 

実際のアクションとしましては、20217月より使用済みステンレスボトルの回収と再資源化の取り組みを開始しております。

エコのために何から取り組めば良いか分からないという方たちに、ボトルを使っていただくという小さなアクションが地球の未来を守ることに繋がるかもしれないということを発信し、日本を代表するステンレスボトルメーカーとして、持続可能な社会の実現に寄与したいと考えております。

取材・文/内橋明日香 写真提供/タイガー魔法瓶