リモート会議
人前に出ると、緊張してうまく話せない、頭が真っ白になってしまう…という悩みを解決するには?

 

産業医・精神科医として活躍する井上智介先生に、できるだけ緊張せずにリラックスして発言できるテクニックを教えてもらいました。

緊張の原因は「第三者の視線」

会議やプレゼンのシーンを思い起こして見てください。自分が話す側になると、緊張して声が小さくなったり、言葉に詰まったりする経験は誰でも心当たりがあるのではないでしょうか。

 

「相手から見られている」という第三者の視線に意識が働くと、必要以上にドキドキしてしまうという理由があります。

 

一方、誰もいない部屋であれば、プレゼン資料もスラスラ詰まらずに原稿が読めますよね。そもそも、見られている意識がなければ緊張することがないからです。

 

ただし、緊張はなければいいという単純なものではありません。過度な緊張は解くべきですが、ほどよい緊張感はあってもいいものです。

緊張感を和らげる2大テクニック

緊張を解くカギは、第三者の視線をどうかわすか、という点にあります。つまり、マインドチェンジによって、緊張しないように意識的に仕向けることが大切です。

意識的に「見る側」に立つ

1つ目のテクニックは、「自分が見られている」のではなく、「自分が周りを見ている」意識を持つこと。
プレゼン
たとえば、会議などで発言するとき、手元の原稿だけを見つめていたり、スライドに映し出された資料ばかりを気にしていると、「自分が今、発表している」「注目を浴びている」という意識が強まります。

 

これでは、他人の目が気になり、緊張に飲まれてしまいます。そうならないためには、自分が「見られている」と意識しすぎないように、視点を変えてみましょう。

 

  • 聞いている人の表情を観察する
  • 会場の装飾をチェックする
  • できるだけ広い視野で周りを見渡す

 

これらのことに目を向けると、主体が他人ではなく自分の視線に切り替えることができます。

 

さらに、「こちらも見ているんだぞ!」と思うのがコツです。「周囲に見られている」感覚から解放されると、緊張感に縛られることもありません。

手に何かを持つ

もうひとつのテクニックとして、手に何かを持ったり触れたりすることも有効です。このとき、手と物の接地面積が大きいほど、安心感が得られると言われています。

 

手元の資料やペンを持ったり、机などに触れたりすることを、無意識に行っている方もいるかもしれません。ですが、緊張をより解くには、ここでも「意識的に行う」ことが大きなポイントになります。

 

「自分には、緊張を緩和させる方法がある。だから大丈夫」という気持ちを持つと、より効果を発揮してくれるでしょう。

 

何も触れるものがない場合は、自分の両手を握るのもいいですね。

 

もし、手をぶらぶらさせたり、何も持たずに発言しても緊張しないという場合はたいしたもの。よほど人前で話すことに慣れている人といえるでしょう。

一対一のコミュニケーションで緊張しないコツ

人前で緊張するのは、大勢の前というシチュエーションだけではありません。一対一のコミュニケーションにおいても、緊張を伴うことはよくありますよね。

 

たとえば、打ち合わせなどで初対面の人と待ち合わせするとき。

 

この場合は、できるだけ相手よりも先に待ち合わせ場所に着いておくことをおすすめします。先に到着して相手を待つことは、相手を見る側にまわるということ。つまり緊張がしにくくなります。

 

なかには、会話が途切れて沈黙が続いてしまうことに気まずさを感じる方もいるのではないでしょうか。

 

焦って無理に会話を盛り上げようとすると、思ってもいないことを口走ってしまい、かえって、相手に不信感を抱かせてしまう可能性も少なくありません。

 

相手も状況は同じですから、無理に沈黙を埋めようとしないのがいちばん。もしかしたら、「この人とはあまり話さなくても大丈夫」とお互いに思え、かえって良い関係が築けるかもしれません。

見る側に意識を変えて自分らしく振る舞おう

オーディエンスの数に多い少ないはあれども、人前で話す機会は誰にでもあります。

 

そんなとき、「見られている」という意識をできるだけ手放すことができれば、きっと過度なドキドキが少しおさまってくれるでしょう。

 

いちばん大切なことは、リラックスして、あなたらしく振る舞えること。ほんの少しマインドチェンジをして、ぜひ自分が見る側に立つことを意識してみてくださいね。

 

PROFILE 井上智介

井上智介先生プロフィール
大阪を中心に精神科医・産業医として活動。産業医としては社内の人間関係のトラブルやハラスメントなどで苦しむ従業員に、カウンセリング要素を取り入れた対話重視のケアを行う。精神科医としてはうつ病、適応障害などの疾患の治療に加え、自殺に至る心理、災害や家庭、犯罪などのトラウマケアにも対応する。

取材・構成/水谷映美