子どもの食事を手伝い父親
スーパーマーケットの業界団体が発表する資料を分析すると、日本人の食生活の変化がみてとれます。一昨年はキムチ購入者が多かったのですが、昨年はプロテインが売れました。その行動変容がなぜ起きたのか、経済評論家の森永康平さんが解説します。

コロナ禍で「食費」にお金をかけるように

一般社団法人全国スーパーマーケット協会発表の「2022年版 スーパーマーケット白書」をひもとくと、私たちの食生活がどのように変わったかを知ることができます。

 

まず、家計の消費支出を見てみると、外食支出の低迷が続く一方で、内食支出は増加傾向を続けています。

 

これまでは仕事帰りに居酒屋で飲みながら食事を済ませていた人の多くが、家の近くのスーパーで総菜を買って帰ったり、家で自炊をしたりしていると思います。

 

興味深いのは、食品支出(内食と外食)はコロナ前(2019年)より増加している点です。減少した外食支出が内食支出に変わったのではなく、コロナ禍ではそもそも食品に使うお金が増えたことが分かります。

 

また、コロナ前に比べて減少した外食への支出金額が代わりに何に使われたのかを消費者調査の結果で見てみると、「食品購入など食生活に関連した支出に使っている」(33.5%)という回答がいちばん多かったのです。

 

ちなみに、コロナ禍においては外出規制や施設の休業などもあり、旅行・レジャー関連の支出も減っているのですが、その減少分は何に使ったかの回答で最も多かったのは、「貯蓄に回している」(29.3%)でした。

東京と石川の食生活における共通項

コロナ禍における食生活の変化は、都道府県で違いが生じています。食生活が大きく変化したのは外食比率がもともと高い地域。

 

たとえば、東京や埼玉などの大都市圏に加え、石川や岡山、熊本のような地方圏も含まれています。

 

一方で、食生活への影響が小さかった地域は、もともと自宅で食べる内食比率が高かった地域。

 

青森や秋田、鳥取など地方圏の多くが含まれています。これらの地域は感染拡大の影響が低かった地域ともいえます。

好調だったキムチの売上が落ち着いた理由

2021年の売れ行き商品ランキングも発表されているのですが、上位には「オートミール」、「麦芽飲料」、「プロテイン粉末」などの健康食品が多くランクインしています。

 

2020年は上位にヨーグルトやキムチ、乳酸菌飲料がランクインしていました。この2年間の変化から何が読み取れるでしょう?

 

おそらく、2020年はコロナ関連の情報も少なく、とにかく感染したくないと、免疫向上を期待して発酵食品や乳酸菌飲料が売れたのでしょう。

 

それに対して、2021年はコロナ禍において外食の機会や運動量が減り、健康志向が高まったということが読み取れるでしょう。

 

このように、各省庁が発表している経済指標だけでなく、業界団体が発表する白書を読むことで、新たな発見もできるのです。

文/森永康平 
参考/一般社団法人 全国スーパーマーケット協会「2022年版 スーパーマーケット白書」http://www.super.or.jp/?page_id=6709