加齢による悩みや更年期間近の体調不良…40代以降の女性には身体的な悩みが徐々にふえていきます。女性が抱える健康課題をテクノロジーで解決するフェムテックは、そんな人にとっても大きな味方になってくれるようです。

 

長く不調を抱える女性のケアに関わってきた産婦人科医の福山千代子先生は「まずは自分の体と向き合い、つらい症状を我慢しないこと。自分の人生の質を上げるためにフェムテックを積極的に利用してほしい」と話します。

「フェムテックが自分の体と向き合うきっかけに」

女性特有の体の変化ばかりか、人生の転機が一気に押し寄せる40代。

 

今の40代女性は、若いときは月経痛も我慢が当たり前…という状況で頑張ってきた人たちです。更年期まで自身の体と向き合ってこなかった、という人は意外に多いかもしれません。「出産後、1度も婦人科に行っていない」という人もいるといいます。

 

「フェムテックが話題になることで、社会そのものが女性ホルモンや女性性に関心を向けるのは意味があると思います。日本人は昔から自分よりも他人を優先。他人を思いやって迷惑をかけちゃいけない、という感覚がものすごく強い。更年期症状が強くて仕事をやめてしまう人もいるくらいです。

 

フェムテックなどの知識が広がるとともに、この世代のロールモデルが生まれるといいなと思います。更年期を乗り越えた人には下の世代に伝えていってほしいし、皆に知識が広がり、社会の理解も進んでいけばいいですよね」

 

そのためにも、頼れるかかりつけの婦人科医をつくっておくことが大事。「できれば思春期のうちから、かかりつけがあるといい」と福山先生は言います。そうすれば、自身の体の変化について気軽に相談しやすくなるし、体の状態も把握しやすくなるでしょう。更年期が訪れたときの安心感も違うはずです。

加齢で起こる「尿もれ」が自己肯定感を下げることも

更年期のほか、膣の萎縮、尿漏れなど泌尿器系の悩みもあります。

 

「尿もれは誰にでも起こるもの。膀胱の筋肉が加齢によって硬くなったり、エストロゲンの低下や妊娠や出産などで骨盤底筋群が緩むなど、いろいろな原因があります。膣の萎縮をはじめ、骨盤底筋群が緩む原因もひとつではないため、治療が難しいのです」

 

尿に関する悩みは、人に気軽に話しづらく、密かに悩んでいる人が圧倒的に多いそう。

 

「見た目に気を配っている人ほど、尿もれで悩む自分を許せない…という人が多いんです。人前で恥をかきたくないという気持ちが勝り、外に出るのがおっくうになってしまうことも。

 

加齢で起こる尿もれによって自己肯定感が下がってしまうのは残念なことです。今はフェムテックの進化により、膣トレ向けのエクササイズや骨盤底筋を鍛える専用アイテムもあるので、興味がある人は取り入れてみるといいと思います」

尿もれに対応する最新フェムテックがある!?

尿もれだけでなく、膣の衰えによる乾燥やかゆみ、匂いといった身体的な悩みや、性交痛など今まで感じなかった悩みを抱える人も。最新フェムテック機器を備えるクリニックでは、尿もれや性交痛など、さまざまなニーズに合わせて施術を受けることができるそう。

 

医療機器「エムセラ」

なかでも注目されているのが「エムセラ」。乗るだけで骨盤底筋群が鍛えられるという最新機器です。自身ではなかなかケアが難しい箇所だけに、乗るだけでいいというのは非常に画期的。

 

また「モナリザタッチ」は、膣のアンチエイジングに効果があるとされる医療機器。かゆみや乾燥、性交痛、それこそ尿もれにも有効とされています。福山先生は8年前にいち早くクリニックに取り入れ、非常に反響が大きかったそう。

 

「膣の萎縮は、デリケートゾーンのあたりに違和感を感じたり、スキニーパンツがはけなくなったり、自転車に乗る時も痛みを感じたり…そういったちょっとした変化から悩み始める方が多いんです。

 

このような状況もエストロゲン低下による変化のひとつだと知って、我慢せず、ひとりで悩まずに婦人科受診をしてほしいなと思います」

 

まずは、閉経に伴う体の変化の情報収集をし、慌てず自分の体の変化を理解していくことが大切だと言えそうです。

 

PROFILE 福山千代子先生

福山加代子先生

日本産婦人科学会専門医。MET BEAUTY CLINIC院長。金沢医科大学医学部卒業。女性のライフステージに寄り添ったわかりやすい解説が人気。膣のアンチエイジングレーザー「モナリザタッチ」をいち早くクリニックに導入し、話題に。

 

取材・文/久保直子 資料提供/MET BEAUTY CLINIC