先日発表された速報によると、2021(令和3)年に生まれた赤ちゃんの人数は過去最少の約84万人だったことが分かりました。

 

50年前(1971年)の約200万人と比べると、半分以下にまで減っていることになります。

 

今回はその理由や背景、コロナ禍との関係などについて考えてみました。

2021(令和3)年の出生数は過去最少

厚生労働省が2022年2月25日に発表した統計(速報)によると、2021年に国内で生まれた赤ちゃんは84万2897人。

 

前年より2万9786人(3.4%)減っていて、6年連続で過去最少を更新したということです。

 

とくに1~2月の出生数は目立って少なくなっています。
ちょうど新型コロナウイルス感染拡大にともなう緊急事態宣言が出されて全国で休校となった2020年の3~4月ごろ、 「もし妊娠中に感染したらどうなるか分からない」 という不安から妊活を一時ストップした夫婦が多かったからではないかと考えられています。

 

また、2021年の4月の緊急事態宣言の時期にも妊娠を控えた人が多かったことが、その後の妊娠届出数(=母子手帳を受け取った人数)が落ち込んでいることから推測されます。

新型コロナは結婚にも影響

出産だけでなく、実は2021年に結婚したカップルも51万4242組と、前年より2万組以上減り戦後最少でした。

 

コロナ禍で収入が減り先行きの不安が高まったこと、感染が収束するまで結婚を見送ろうと考える人が増えたこと、そして会食や飲み会をはじめ人の集まる機会が制限されて出会いが減ったことなどが原因ではないかと考えられています。

 

結婚してから第1子出産までの平均年数は約2.5年なので、2023年以降も出生数のさらなる低下が予想されています。

少子化の原因はコロナだけじゃない?

ただ、出生数や婚姻数の減少はコロナ禍で突然起きたのではなく、それより前からすでに進んでいました。

 

現在の日本の少子化には、おもに次の2つの大きな原因があると考えられています。

 

  • 結婚する人が減っている
  • 出産しても安心して育てられない

 

現在、全世帯のうち1人で暮らしている「単独世帯」は35%と3分の1を超えており、2040年には40%に迫ると予想されています。

 

ただみずから選択して単身でいる人もいる一方、35歳以下の独身男女では「いつかは結婚したい」と考えている人が8~9割という調査結果も。

 

背景には、なかなか給与が上がらない・非正規雇用でしか働けないといった経済的な理由で、結婚したくても踏み切れない人が増えていることがうかがえます。

 

そんな中で結婚して子供を育てようとしても、世間の目は子連れ(特に母親)に対して厳しく、どこに行っても肩身が狭い思いをしがちです。

 

働きたくても待機児童が多く保育園に入れず、夫は長時間労働・妻はワンオペ育児で疲弊している状況。

 

給与水準は数十年据え置きなのに上がり続ける教育費に「こんな状況で2人目3人目なんて考えられない」という声もよく聞きます。

 

コロナ禍の影響はもちろんあるかと思いますが、現在の社会構造のままでは、まだ多くの人が将来が不安で結婚や出産に踏み切れないのではないでしょうか。

おわりに

さまざまな価値観や生き方が尊重される社会を目指すには、「結婚出産だけが唯一の幸せ」という価値観も見直していく必要があり、その中では結婚しない自由や子供を産まない選択も当然あり得ます。

 

しかし、結婚したい・子供が欲しいと思っているのに、取り巻く環境がそれを許さない……という人も増えていることが、今回の過去最少の出生数からも見て取れます。

 

望めば誰もが安心して結婚・出産できるような環境作りはこれからも最重要課題だといえるでしょう。

文/高谷みえこ

参考/人口動態統計速報(令和3年12月分)|厚生労働省 https://www.mhlw.go.jp/toukei/saikin/hw/jinkou/geppo/s2021/12.html
総務省|平成30年版 情報通信白書|単独世帯の増加 https://www.soumu.go.jp/johotsusintokei/whitepaper/ja/h30/html/nd141110.html
東京大学大学院経済学研究科「コロナ禍における出生」 https://covid19outputjapan.github.io/JP/files/ChibaNakata_Birth_20220208.pdf