PTA組織図
山口さんのお子さんが通う小学校PTA組織のイメージ

ムダな役割はなくす、毎日の旗当番がつらい…これまでヘンだなと思っていたPTA活動を変えた女性がいます。何から手をつけて、どんなことを変えたのか?その結果、PTAはどう保護者に受け止められたのか。その顛末を、PTA歴10年の山口ちゆきさんに聞きました。

PTAに対してどう思う?アンケートをとってみると

—— トータルで10年PTAをやられた山口さん、PTAは大変だと聞きますが、やっていくなかで改善しようと思ったキッカケなどありますか?

 

山口さん:

まずはPTA本部役員が何をやっているのか理解するだけで大変でした。体験するまで、こんなにいろんなことをやっているなんて知りませんでした。

 

そこで、小学校のPTA本部役員になった1年目の冬に、「保護者全員にアンケートをとってみませんか」と提案しました。

 

「シロート役員が何を言うか」と周囲から一蹴されるかと思ったのですが、意外にすんなり了承が取れました。ベテラン役員さんたちも何かずっと思うところがあったようです。

 

質問項目には、保護者たちの働き方(仕事)や、PTA活動の一つひとつについて内容を知っているか、それらについてどう思うか、などの内容を入れ、自由に意見を書けるスペースも作りました。

 

驚いたことにアンケートの回収率は9割を超えました。PTAに対する皆さんのいろんな思いがビッシリ書いてあり、「しんどい」「何とかして」という悲痛な声があふれていました。

言えば変わる!しんどい旗当番もラクになった

—— 保護者たちの思いを知り、どのようなPTAの改革を行ったのですか?

 

山口さん:

アンケートから「PTAのしんどさ」は、目的がよくわからないこと、ボランティアを強制される理不尽、やりがいのなさ…そのあたりが原因だとわかりました。

 

子どもたちのためになる活動は残し、そうでない活動は思いきってなくす。どんな活動をしているのか誰もがわかるようにする。目指すはPTA活動の「見える化」と「スリム化」でした。

 

アンケートから数か月後、保護者向けに開かれていたビーズアクセサリーなどのワークショップや講演会などの教養講座を行う教養部をまずは廃止して、役員を減らすことにしました。

 

教養講座は忙しい保護者にやってもらう簡単な仕事として誕生しましたが、企画しても参加希望者が集まらず集客に苦労する状態で、何のため、誰のためにやっているのかわからなくなっていました。

 

そこで1年の休止期間を設けて様子を見て、なくしても問題ないことを確認し、翌年PTA規約を書き換えて正式に廃止しました。

 

みんなの力でPTAを変えることができたんです。これを皮切りにいろいろなムダを削っていきました。

 

—— 他にどんなことを「スリム化」されたのですか?

 

山口さん:

同じ市内の小学校で旗当番(※)を「仕事として人を雇用している」とPTA会長が聞き、自分たちの学校でも実現できないか校長先生にお願いし、市にかけあってくださいました。

(※)児童が安全に登下校するために保護者が横断歩道などで旗を持って誘導、見守る活動

 

その結果、有償で一部を外部に委託することができ、保護者が行う旗当番の回数が減って、皆さんの負担を軽減できました。

 

それからPTA本部役員の任期を1年制から2年制にしました。任期は長くはなりますが、1度やれば2度とやらなくていい「免除規定」もつくりました。

 

これまで、任期が1年の際は継続希望の方がいないときもあり、一斉に辞めてしまうとPTAの活動内容を知る人が誰もいなくなってしまうため、仕方なくもう1年、さらに1年…とやる人が出ていました。

 

2年制に変更することで役員の入れ替えは今いるメンバーの半分を今年、さらに残りのメンバーを翌年に変え、つねにPTA活動を理解する人が半分は残る状態にしました。

 

役員決めの回数も半分に減らすことができました。
PTA運営の参考にした本
PTA改革のために参考にした本には多くの付箋が

PTAを煙たがっていた保護者に現れた変化

—— 変化を嫌がる方も一定数いますよね…改革に対して周囲の反応はどうでしたか?

 

山口さん:

任期が2年に伸びることについては、はじめはルール変更に反対される方が多かったです。

 

教養部をなくすことに反対していた方もいましたが、1年間教養講座を試しに廃止した結果、何の問題も起こらなかったので、皆さんすんなりと納得してくださいました。

 

また、アンケート結果の報告からはじまり、「本部会だより」の発行、PTA総会での共有など保護者に向けた情報発信を増やしました。

 

今、何が問題か、それをどうしようとしているのか、変えるとどんな良いことがあるか。

 

保護者の皆さんの意見を取り入れた改革案を提示し、改革後のハッピーなイメージを伝えていきました。

 

これまでPTAのことをあまり知らないまま、ただ煙たがっていた保護者に伝えていくことで、PTAの役割を理解してもらえるようになり、改革が受け入れられていきました。

 

PTAは、多様な人の考えを知るには絶好の場です。PTAがヘンだと思ったら、変えてみるのも悪くないんじゃないでしょうか。

取材・文・画像/清宮あやこ 写真提供/山口ちゆきさん
引用元/山口ちゆきさんnote https://note.com/yamaguchichiyuki/n/nd9c13b54ffca