古い家電設備

「家電は、壊れるときは同じ時期に何個も壊れる」とはよく聞きますが、三世代同居を始めて15年目の我が家も、例外ではありませんでした。

 

悲鳴をあげる家電や設備。次々に襲いくる絶望に、立ち向かえ!同居嫁!

バッグを買うはずだったのに

あれは昨年冬のはじめのことでした。

 

誕生日を控えた私は、自分への誕生日プレゼントにと、以前から欲しかった、秋冬用のちょっとお高い(当社比)バッグを思いきって買ってしまおうと内心ニヤニヤとしておりました。

 

そしていよいよ通販でお目当てのバッグを注文しようとしていた矢先のことです。リビングから裏庭に続く、我が家でいちばん大きな窓が、突然閉まらなくなってしまったのです。力いっぱい押しても引っ張っても、どうやっても鍵のかかるところまで金属製のサッシが閉まらないのです。

 

突然…というのはちょっと見栄を張ってしまったかもしれません。実はこの窓のサッシ、以前から建てつけが歪んで閉まりにくくなっていたのです。

 

その度に家族が素人ながらに微調整を繰り返し、何とか閉まるようにする…ということを繰り返し、ついにごまかしがきかなくなった、というのが真相です。

 

三世代同居を始めるにあたって15年ほど前に中古で購入した戸建の自宅ですが、その時点ではそれほど築年数は経っていませんでした。しかし、我々が暮らした年月も積み重なり、ダメージは確実に蓄積されていたのです。

 

さあ困りました。我が家でいちばん大きな掃き出し窓で、ここの鍵が閉まらないと、防犯上、丸裸のようなものです。

 

一刻もはやく直さねば…こんなに大きな窓、万が一全部取り替えるなんてことになったら、費用は数万円ではきかないでしょう。自分へのご褒美にバッグなんて言っている場合じゃない…私の誕生日プレゼントは窓のサッシだ!と内心、覚悟を決めました。

 

しかし、連絡を取ったハウスメーカーの提携業者さんは、実に良心的でした。いったいいくらの請求が来るのかとガタガタ震えていましたが、なんと金額は数千円。想定していた数十分の一で済んだ!と内心、小躍りしたのでした。

次は電動式雨戸シャッターが壊れた

さあこれで心置きなくバッグだ、と思ったのも束の間。我が家の災厄はまだ始まったばかりだったのです。

 

なんとサッシ修理の翌日、今度は義父母の部屋の電動式雨戸シャッターが、うんともすんとも言わなくなってしまったのです。

 

またしても同じ窓口に電話をし(またかよ!と思われたことでしょう)、今度はシャッターの業者さんが修理に来てくれました。これもやはり、取り替えになると数十万円…バッグまだ注文してなくてよかった…そう震えながら見積もりを待っていました。

 

さて、いざやってきた請求書の金額は、決して安くはないものの、想定していたよりはずっとお手頃な価格。幸い、モーターがぎりぎり生きていたので、最低限の部品の交換で済んだのです。

 

義父母はというと、「安く済んでよかった、今度壊れたら取り替えなきゃね」と言っておりますが、我々若夫婦は、(取り替えは嫌だ…今度壊れたらモーター取り外して手動シャッターにする…)と心に決めております。

洗濯機、物干し竿も次々と

安心したのも束の間、今度はその日のうちに、義父母世帯が主に使っている洗濯機が、異音を立てるようになりました。

 

今週何度目?と思うほどの修理の見積もりが終わり、これは残念ながらモーターがご臨終とのことで、もはややけっぱちで洗濯機を買い替えました。総額の8割ほどを義父母が負担してくれなかったら、私はやさぐれてやけ酒に走っていたかもしれません。

 

このペースは異常だよね、呪われているのでは…と話しているうち、ベランダの物干し竿が突然ボッキリと折れました。

 

お祓いに行こうか…と話しているうち、洋服掛けのポールもばっきり折れて倒れてきました。

 

どちらもさほど高価なものではないにせよ、こう続くとゲンナリします。

 

最初に窓のサッシが壊れてから、ここまでなんと約1週間。

 

「壊れるときはまとめて壊れる」

 

よく言われることではありますが、このうえなく実感した出来事でした。

 

そして自分へのプレゼントであるバッグはどうなったかというと…。

 

修理代は全部、予想より安く済んだことだし、こうなったら厄祓いだ!と、結局思いきって購入し、思う存分使っています。

 

一つひとつは安く済んだとしても、合計金額は結局、バッグどころじゃないくらい掛かっていることには目をつぶることにしております。

文/甘木サカヱ イラスト/ホリナルミ