週末、スーパーなどでは、夫婦連れの買い物客が目立ちます。「うちの夫は一緒に来てくれない」「荷物持ちに来てくれてもいいのに」という声もあれば、「夫婦で買い物に行ってもしかたないのに」という声も。夫側の意見はどうなのでしょう。

妻が夫と一緒に買い物に行かない理由

「週末くらいしか一緒にいないし、ひとり息子は高校生で部活や友だちづきあいで忙しい。妻が数日分の食材を買うので、“一緒に行くよ”というと、『来なくていいから』と言われちゃうんですよ」

 

ヒロフミさん(46歳・仮名=以下同)は切なそうに言います。妻とは仲良くありたいと思っているし、スーパーへ行って一緒に食材を選びたいと思っているのに、いつも却下されてしまうそう。

 

「妻としては、夫婦でスーパーってかっこ悪い、と。そうかな、ほのぼのとしていいじゃないかと言ったら、『いるのよ、近所の奥さんでそういう人が。うちは仲がいいアピールするタイプ。そういうのに限って離婚間近だって噂されてる』と。

 

妻はそんなふうに見られたくない様子。近所の噂を気にして一緒に行かないって変ですよね。

 

しかたないので、ひとりでスーパーで買い物していたら、近所の人から『あら、おひとり?』と言われる始末。ひとりでいても何か言われるなら、気にする必要はありませんよね」

 

あげく家に帰って、「どうしてこんな高いものを買ってくるの?」と妻に怒られるというから、踏んだり蹴ったりな様子です。

見切り品ばかり買う妻に夫が抱いた疑念

一方、ときどき妻と買い物に行くと話すのは、ツヨシさん(43歳・仮名=以下同)。あくまでも荷物持ち要員としてですが、見ていると、妻は見切り品ばかり買うそうです。

 

「僕が、この赤身肉、うまそうだなー。たまにはステーキでもするかと言うと、妻は『何言ってるのよ』とつぶやきながら、半額になっている豚肉を買う。

 

野菜もほとんどが見切り品コーナーからカゴに入れていくんです。『今日中に調理して冷凍するからこれでいいの』と言いきる妻の表情、なんだか迫力あるんですよね(笑)」

 

何度かそういうことがあって、ツヨシさんにはふと疑惑がわきました。自分が一緒に行かないときも見切り品ばかり買っているのだろうか、と。

 

「もしかしたら、僕が一緒にいるときは、とくに見切り品を多く買っているのではないだろうか。それは僕の稼ぎが少ないことへの無言の圧力なのかもしれない、と」

 

自分でも考えすぎかなと思ったものの、妻の様子を見ているとそれも当たっているかもしれないと考え直したそうです。

 

「食べるものくらい、あんまり節約しすぎないようにしようよ。まだ成長期の子どもたちもいることだしと、やんわり言ってみたのですが、『栄養のことは考えているわよ』とにべもなく言われました。

 

先日も妻が、たまにはワインでも飲みたいわねというので、僕は大喜びでワインコーナーからお得でおいしいチリワインをセレクトしたんですが、『これは高い』と却下されました。せつなかったですね

 

妻からは「ちりも積もれば山となるっていうでしょ。それが節約の極意なの」と説教されました。

 

「妻には言えないけど、僕なりにがんばって働いている。たまには最低額より少しだけ高いワインを飲ませてくれてもいいと思うんだけど」

 

妻にすがってもダメだったので、しかたなく自分のこづかいから買ったツヨシさん。すると彼よりお酒が強い妻が8割方、飲んでしまいました。

 

「『取っておけないものね、ワインは』が妻の言い分。でも一度に全部飲んでしまわなくてもいいじゃないか、と僕は腹の中で愚痴るしかありませんでした。今度はこっそり買って、ひとり飲みしようと思います

 

それからも、週末のスーパーでは見切り品を買う妻と、それを苦々しく思いながらも何もいえないツヨシさんの姿があるそうです。
文/亀山早苗 イラスト/前山三都里 ※この連載はライターの亀山早苗さんがこれまで4000件に及ぶ取材を通じて知った、夫婦や家族などの事情やエピソードを元に執筆しています。