食べられるはずの食品を、さまざまな理由で捨ててしまう「食品ロス」。

 

課題は山ほどありますが、家族で「楽しく食べること」もひとつのアプローチかもしれません。

 

子どもが生まれて、幼少期の食生活に感謝するようになったというフリーアナウンサーの中村仁美さん。偏食だという夫、やんちゃ盛りの三兄弟とのにぎやかな食生活について伺いました。

二日酔いに野菜ジュースだった食生活が変わった

── 普段の食事では大皿ではなく、あえて各自のお皿に盛りつけているそうですね。

 

中村さん:

子ども用のプレートに盛りつけ、そこに出されたものは必ず食べる、もし残したら、その後のデザートやお菓子は食べてはいけないというルールにしています。今のところ、子どもたちはそのルールを守ってくれています。

ワンプレート
食事は個別に盛り付け「盛られたものは食べきる」がルール

── 2歳から小学生まで3人のお子さん全員がそれを守っているのはすごいです!

 

中村さん:

もちろん盛りつける段階で量は調整しますし、子ども同士で、好きなものと苦手なものを交換するなどはやっています。食前におやつを食べて、食事を残してしまうということもままあります。

 

でもそうやって少しずつ食べることを教えていきたいと思っています。今はいろいろな価値観がありますが、子どもには「好き嫌いせず何でも食べられる」ようになってほしいです。私自身「出されたものは何でも食べる」というふうに育てられましたから。

 

── 中村さんのご両親の教育方針が、中村さんの子育てにもつながっているわけですね。

 

中村さん:

当時は「また魚?肉がよかったのに」なんて文句も言っていましたし、実家を出てからの食生活も自由気ままでした。お酒は好きなだけ飲むし、翌朝二日酔いだったら野菜ジュースだけ。食欲がないと簡単に済ませたり、そもそも食事を抜いてしまうことも。

中村仁美
自由気ままな食生活だった独身の頃

でも、子どもができてすっかり変わりました。

 

子育てをするなかで、体を作るのは食事なんだという当たり前のことを感じています。子どもたちの食事は大切にしたい。今日がお肉なら明日はお魚にしようか、野菜はいかにして取り入れようか、常に考えてしまう。意識が変わりましたね。

 

肉も魚も偏りなく食卓に並べてくれて「出されたものはなんでも食べる」ように育ててくれた両親には感謝しています。

中村仁美小学生時代
小学生の頃の中村さん(一番右)

偏食の夫は子どもの味方!?

── 夫であるタレントの大竹さんは食にこだわりがあるようですが、食育について夫婦の考えは一致していますか?

 

中村さん:

そこが難しいところなんです。

 

夫に好き嫌いがあることはなるべく隠しているし、家ではそれを公言しないようにしてもらっています。「お父さんも食べてないじゃん!」と子どもに言われると、返答が難しいですからね。

 

先日子どもが「ご飯の上のジャコが多すぎて食べたくないよ…」と言ったのに対して、夫が「わかる、わかるよ!」ってかぶせちゃって。思わず「違うでしょ!あなたが共感しちゃうと『食べなさい』って言いづらいからやめて」と怒りました(笑)。

 

── 共感しているお姿が目に浮かびます(笑)。でもお父さんお母さん2人に責め立てられるより、どちらかに共感してもらえるとお子さんも自信を失わずに済みそう。

 

中村さん:

確かに。食をめぐる価値観は、時代によって少しずつ変化していると感じます。

 

今は給食でも、苦手な食材や料理はあらかじめ少ししか取らず、「残すくらいなら、食べたい人、その食べ物を好きな人が食べましょう」という指導をされていますよね。

 

── SDGsも定着してきていますし、「食品ロス」は小学校でも習う時代です。

 

中村さん:

仕事でSDGsに関連した専門家の方にお話を伺って勉強する機会もありますし、今後は子どもとの日常の会話にそうした話題を取り入れていけたらいいと思っています。

 

だけど、今はその余裕はないかなぁ。食材の買い出しすら必死ですから。三兄弟を連れて買い物に行けば、2歳半の末っ子は一人で歩きたい盛り、お兄ちゃんたちは勝手にどこかに行ってしまう。

 

「そっちに行っちゃダメ!」「触っちゃダメ!」「こっちにお菓子あるから戻っておいで!」と、てんやわんやです。買い物自体、気合いを入れて「さあ行くぞ!」という感じで、教えるどころじゃない…というのが本音です。

釣りも料理も好きな長男が食卓を盛り上げる

── 子どもに「食について考えてもらう」という意味では、収穫体験などもいいと聞きます。

 

中村さん:

以前旅先のアユ釣り体験で、長男が1匹だけ釣ったものをその場で炙り焼きにしてもらったことがあります。

 

普段あまり魚を食べない子なんですが、そのときは全部食べたんですよ。小骨もたくさんあったのに「美味しい、美味しい!」って。

 

── 小骨があっても食べたんですね…!

 

中村さん:

やっぱり「自分でとったものは食べるんだな」と思いました。

 

今までビクビクと生きていた魚が動かなくなるのを見て、「命をいただくってこういうことなんだよ」という話もできたし、いい体験でした。

 

── その後も息子さんは釣りに出かけて、魚を持ち帰ってくるそうですね。

 

中村さん:

WEB媒体での連載にも書きましたが、私、それまで魚をさばいたことがほぼなかったんです。そもそも生き物が苦手で。

 

でも子どもの気持ちを考えれば、その体験を大事にしてあげたいじゃないですか。

 

なので、毎回YouTubeで「さばき方動画」を見ながら必死でやっています。こんな私でも意を決することで内臓にも触れた。それがわかった貴重な経験でした。

 

── 中村さんのお子さんへの愛を感じるお話ですね!お子さんは、中村さんと一緒に料理をすることはありますか?

 

中村さん:

あります。特に長男は料理が好きで、去年は学校の自由研究で「毎日食事を作る」というテーマに取り組みました。

 

毎日1品必ず息子が料理を作って、それをすべて写真に撮ってファイルに綴じました。コロナ禍で時間もあったからできたんでしょうけど、今振り返ってみてもいい思い出です。

子どもの自由研究
長男は自由研究の課題に「料理」を選択

── 普段のお手伝いも期待できそうですね。

 

中村さん:

家族みんな餃子が大好きなんですが、餃子作りではいつも一緒に皮に包んでくれますね。焼きそば作りでは野菜を切ったり炒めたりもしてくれます。

 

子どもが料理してくれることの思わぬ副産物は、夫にも勧めてくれること。子どもに「僕が釣った魚食べて!」「僕が作ったんだからパパ食べてよ!」と言われたら、偏食の夫も食べざるを得ない(笑)。

 

── 偏食の大竹さんを巻き込む息子さんたちの言動…。家族で楽しく食に向き合っていらっしゃいますね。

 

中村さん:

なんだかんだ楽しいですね。基本はてんやわんやなんですけど(笑)。

 

食品ロスがよくないことはみんなわかっている。それをどうするかは家庭によってそれぞれだと思います。わが家も偏食の夫、やんちゃ盛りの三兄弟がいて完璧にはできていませんから。

 

まずは、家族みんなが食事を楽しむことが大事なのかなと思います。

 

PROFILE 中村仁美

1979年大阪府出身。2002年、お茶の水女子大学生活科学部を卒業し、フジテレビにアナウンサーとして入社。2011年に結婚し、2017年退社。現在はフリーアナウンサーとしてテレビやラジオ、イベント等幅広く活動を続ける傍ら、3児の母として多忙な日々を送る。夫はお笑いコンビ「さまぁ~ず」の大竹一樹さん。

取材・文/井上佳子 画像提供/中村仁美 イラスト/えなみかなお