昼ごはん
食べられるはずの食品を、さまざまな理由で捨ててしまう「食品ロス」。

 

課題は山ほどありますが、家庭の食卓から取り組める身近なこともたくさんあります。

 

その代表は「子どもの食べ残し」問題!3人の男の子を育て、日々奮闘しているフリーアナウンサーの中村仁美さんに、残食担当になりがちな親としての思いについて伺いました。

「もったいないから食べる」は私の仕事

──「食品ロス」という言葉だけを切りとると、難しく聞こえますが、「子どもの食べ残しを何とかする」という問題はどこの家庭でも「あるある」話ですよね。

 

中村さん:

子どもって、どうしても食べムラがありますからね。

 

どの料理をどれくらい作るべきかということは、いつも悩んでいます。男の子が3人いるので、すごく食べる日は「もう売り切れです!」というほど食べるんですけど、食べない日はお皿によそった分も残すか残さないかのギリギリになったり。本当に読めません。

 

──「この前はあんなに『好き!』って言ったから頑張ったのに」と言いたくなりますね。

 

中村さん:

そうなんですよ。「美味しい」と言ってくれたからと、前回より多めにお肉を入れてあげたりしたら、逆にそれが気に入らなかったのか、残されてしまったり。「あれ?もう食べないの?」と聞いても「今日はもうこれくらいでいいや」と返されて終わり。

 

食品ロスの問題以前に、「せっかく作ったのにもったいない!」と思ってしまいますよね。それを毎回捨てていたら大変な量になってしまいます。

 

── その結果「もったいないから食べる」のは、もっぱら保護者の仕事に…。

 

中村さん:

そういうのって、周りではパパの仕事だと聞くことが多いのですが、我が家はほぼ私の仕事になっていますね(笑)。

 

夫は食に関してこだわりが強いので「夕飯の残り物を冷蔵庫に入れておいたら朝に食べてくれるかな?」と期待して翌日に声をかけてみても、「いやあ、朝からそういうのは要らないかな」とあっさり断られてしまったり。必然的に、私が残ったおかずを食べています。
昼ごはん
中村さんのお昼ご飯の1カット。家の残り物で済ますこともしばしば

キャラ弁で出る残り物は、作りながら食べる

── お弁当に関してはいかがですか?作るプロセスで出た余りを保護者が食べているというのも「あるある」です。

 

中村さん:

長男はあまりキャラ弁に興味がなかったのですが、次男はそうでもないみたい。普通のお弁当を持たせていたら、「誰々のおにぎりはサッカーボールになっていた」なんて報告を受けることが多いですね。

 

同じ家、同じ親のもとに育った子でも、兄弟それぞれ好みって違うんだなぁって改めて思いました。

 

だから次男のお弁当には、たくあんを星形に抜いて入れています。もちろん、切り抜いた周りは私が食べます。あとでまとめて食べるというより、お弁当を作りながら食べていますね。抜いては食べて、抜いては食べて(笑)。
沢庵入りお弁当
次男のお弁当には星形のたくあんが

子ども中心の献立…独身時代好きだったあの食材が懐かしい

── 子どものことを考えると、どうしても子ども中心の献立になりますよね。

 

中村さん:

そうなんですよねぇ。

 

蒸し鶏のネギ塩ソースがけを気に入っていてよく食べてくれるんですが、あとは餃子、カレー、とんかつ…。残り物を出さないようにしようと思うと、どうしても子ども中心の献立になってしまいますね。

 

献立のバリエーションを増やそうと、新しいメニューにトライしたりもするんですよ。

 

子どもの給食のメニュー表を見て「これを食べているなら、うちでも同じようなものを食べられるだろう」と思ってチャレンジすることもありますね。

 

食事作りはそうやって日々試行錯誤しています。気づけば独身時代や、家庭に大人が二人だけだったころに好きだった料理が登場することはほぼなくなりました。
一口かつ
家族が大好きだという中村さんのひと口かつ

── 具体的に、どんなメニューから遠ざかってしまいましたか?

 

中村さん:

韓国料理やエスニック料理ですね。「パクチーが食べたい!」と思うこともありますけど、仮にパクチーを買ったところで、まず子どもたちは食べてくれない。だからそこはもう潔く諦めています。

 

お正月のお雑煮でも似たようなことがありました。私、お雑煮には柚子の皮を入れたほうが絶対に美味しいと思っているんですけど、お雑煮用に使ったあとの残りの柚子、うちは使わないよな…と。

 

ジャムにするなどいろいろ手はあると思うのですが、その手間なども考えて、「うちは、柚子は買わない」と決めました。柚子は入れたいけど、入れない!確実に余るくらいなら、大人は我慢しようと思いました。

 

── 子どもは柚子の風味を求めていないですもんね。

 

中村さん:

息子たちの場合は全然、求めてないですね。

 

そうやって、彩りや風味のためであっても、残してしまうとわかっているものは、自然と買わないようになりました。

美味しそうに食べてくれる姿が微笑ましい

── 家庭で子ども中心の食生活になってしまうストレスは、ランチなどで解消するという声もよくあります。

 

中村さん:

確かに。

 

今まではママ友とランチに行くことで、解消されていたんですけど、コロナ禍でそれも難しくなってしまいました。

 

── コロナ禍で外食の機会も減り、家庭では子ども中心の献立。立派な?残食担当ぶりも伺いましたが、日々どんな気持ちで食事に向き合われていますか。

 

中村さん:

外食もままならず、子ども中心の献立の繰り返し。作っている私自身、すっかり飽きています(笑)。

 

だけどありがたいことに、子どもは同じメニューでも美味しそうに食べてくれるんですよね。似たようなメニューの連続で夫には申し訳ないですけど、不満は口にしないでいてくれます。というより、偏食の夫自身、あまり文句を言えた立場ではない(笑)。

 

日々の食事作りや「残食担当」としての試行錯誤は常にあります。だけど、家族みんなが美味しそうに食べてくれるなら、それでいいと今は思っています。

 

だって自分が作ったものを、取り合いになるほど食べてくれる姿はやっぱり微笑ましい。夫や子どもたちがいなければ出会えなかった景色、それを見られる今が幸せです。

 

大げさかもしれませんが、そうした試行錯誤も含めて家族になっていくのかもしれません。

 

PROFILE 中村仁美

1979年大阪府出身。2002年、お茶の水女子大学生活科学部を卒業し、フジテレビにアナウンサーとして入社。2011年に結婚し、2017年退社。現在はフリーアナウンサーとしてテレビやラジオ、イベント等幅広く活動を続けるかたわら、3児の母として多忙な日々を送る。夫はお笑いコンビ「さまぁ~ず」の大竹一樹さん。

取材・文/井上佳子 画像提供/中村仁美 イラスト/えなみかなお