読者アンケートによると、子どもがスマホ関連のトラブルにあわないよう「チャットのやりとりを見せてもらっている」「スマホを使える時間を制限している」などの対策を行っている人が多いようです。

 

同時に「いつまで干渉し続けたらいいのか」「友達とのやりとりまで全部チェックするのもどうなのかと思う」といったモヤモヤも生まれている様子。

 

そこで、元埼玉県警察本部刑事部捜査第一課の警部補で、デジタル捜査班班長も務めた佐々木成三さんに質問!ご自身も子育て中のパパとのことで、デジタル犯罪のプロとして父親として、さまざまな目線でお答えいただきました。

子どものスマホも個人情報…親はどこまで監視すべき?

佐々木さんはまず、「フィルタリングをかけてセキュリティを上げることは大切なこと」と前置きしたうえで、「ただ、子どもが納得できる監視方法でなければダメ」と話します。

 

「スマホの使用時間を制限したり、LINEのやりとりをチェックしたり…なぜ親がそんなことをするのか子ども自身がきちんと理解できていないと、別の抜け道を探し出し、代わりの方法を取ろうとするので意味がないんです。

 

たとえばLINEの使用を禁止したとしても、似たようなアプリは他にいくつもあります。最近は、時間を設定することでメッセージを自動消去できる機能つきの『Telegram』というチャットサービスも出てきています」

 

上手に活用すれば便利なサービスの機能を逆手に取る使い方は考えもの。親はどのようにしてSNSの危険から子どもを守ったらいいのでしょうか。

 

「思い出していただきたいのですが、複雑な交通ルールを最初に子どもに教えたのは、きっと親御さん自身のはずです」と佐々木さん。たとえば、子どもと散歩しながら「横断歩道では手を挙げて歩くんだよ」「青信号になるまで渡っちゃダメだよ」「車の通りが多いから端っこを歩いてね」という具合に、子どもに言い聞かせていたのでは、と指摘します。

 

「それから徐々に子どもたちだけで集団登校をはじめ、ようやくひとりで登校できるようになり、車の危険性を自分で学ぶようになっていきます。

 

この複雑なネット社会においても、ルールの学び方は同じです。SNSの危険から子どもを守るために誰が教えてあげるのかというと、それはやっぱり親の役目。学校にすべて任せるのではなく、親がしっかり正しいスマホの危険性を学ぶべきなんです」

 

それは決して、「LINEのやり取りをチェックしていれば大丈夫」「フィルタリングをかけていれば安心」という話ではないといいます。

 

「特に危険なのは、教育者が同級生になることです。『みんなやっているから大丈夫。私もやってみよう』とならないように、大人がフォローしたいですね。スマホからはさまざまな情報が入ってきますが、それを見極める力もフィルタリング能力も子どもにはないと思ったほうがいい。

 

だからこそ、たとえアナログ社会で過ごしてきた親だとしても、子どもにネットリテラシー(インターネットの情報や事象を正しく理解し、

それを適切に判断、運用できる能力)をきちんと

伝えてあげる必要があります。ただ押しつけるのではなく、親子で一緒にどうすればいいかを話し合い、子どもが納得したうえで対策を進めるのがポイントです」

もうすぐ高校生…それでも干渉し続けるべき?

子どものスマホに使用制限をかけたり、中身をチェックしたり…やりたくてやっているわけじゃない、いつまで続けるべきなのかタイミングがわからない、という意見もよく聞かれます。

 

佐々木さんは「まず、親が監視しているからといって安心というわけではないと認識するべき」と指摘します。

 

「過去に、スマホを持たせていなかったのに、子どもがSNSでやりとりしていた相手に誘拐されたというまさかの事件が起きました。これは子どもが親の古いスマホを勝手に外へ持ち出し、フリーWi-Fiが繋がるエリアで操作していたことがきっかけだったようです」

 

危険だから子どもには当分スマホを与えないようにしたとしても、親の想像を超えた方法で子どもはスマホを入手する可能性があります。佐々木さんは「今は子どもでも買えるくらい安く端末が売っているし、『この対策をしているから絶対大丈夫!』とは言えない」と断言します。

 

私たちは今後もずっとデジタル社会と付き合っていくことになります。ますますネットリテラシーが大事になっていく世の中で、親よりも子のほうが早くデジタル社会で独り立ちしていくでしょう。

 

「もし親御さんが私のようにデジタル社会の危険性を熟知して、対策をしていけるのならいいけれど、まったくわからっていない人が盲目的にお子さんを監視したところで意味がないんです。

 

自転車だって交通死亡事故が多いですが、だからといって自転車に乗せないという教育はないですよね?今後もスマホは欠かせないツールになることはわかっています。危険だから持たせないというのではなく、持ったあとにどうすればいいのかを考える教育をしていくべきではないでしょうか」

 

親がスマホにはどんな危険があるのかを理解し、安全な部分と危険な部分を使い分けることができれば、制限をかける必要はない、と佐々木さんは話します。親の役目は干渉することではなく、ネットリテラシーをきちんと子どもに伝えることなのです。

 

「子どもにもプライベートがありますから、知られたくない部分は尊重しつつ、親子が納得できるようなセキュリティを、両者の目でつくっていくといいのではないでしょうか。決して親目線だけではいけません。子供の目線も必ず取り入れるようにしましょう。

 

最近のスマホやタブレットなどには『ペアレンタルコントロール機能』が付いているものもあります。不適切なアプリの制御、コンテンツフィルター、使用時間制限などができ、子どもが安全にインターネットを利用しやすくなります。なかには親が遠隔から設定を変更できるものもありますから、そういった機能やサービスをうまく活用するといいと思います」

 

PROFILE 佐々木成三さん

元・埼玉県警察本部刑事部捜査第一課警部補。デジタル捜査班班長として、埼玉県内の重要事件(捜査本部)において、携帯電話の精査、各種ログの解析を行った。現在はスクールポリス理事として、中高生を対象にデジタル危機管理の指導に尽力。4月には新著『マンガでわかる! 小学生のためのスマホ・SNS防犯ガイド』(主婦と生活社)が発刊予定。

取材・文/望月琴海
©️CHANTO調べ 調査期間:2022年1月21日〜1月27日 調査対象:CHANTOモニター41人