45度のお湯を加えたクエン酸水を用意

年末に行う大掃除の中でも、「窓や床」は範囲や面積が広く大変なイメージがありますよね。1年間の汚れが付着した床や窓は、ふだんなかなか掃除しないので、大掃除でキレイにしておきたいもの。今回は汚れ落とし研究家の茂木和哉さんに、床と窓の大掃除のポイントを聞きました。

フローリング掃除は安全性の面でも水石けんを!

── フローリングは大掃除でしっかり水拭きするなどして、キレイにしたいポイントです。掃除方法を教えてください。

 

茂木さん:

無添加の水石けんを水で薄めた希釈液をフローリングにスプレーして、フローリングワイパーにつけたマイクロファイバークロスで拭いていきます。頑固な汚れでなければ、これでだいたい落ちると思います。

 

そもそもフローリングは食べこぼしや皮脂汚れがメイン。そのため、とくに小さなお子さんがいる家庭では、洗浄力よりも「安全性」を考慮していいと思います。

 

アルカリ性の石けんは、油汚れや皮脂汚れなどの酸性の汚れをよく落とします。アルカリ性と酸性は中和されるので、たとえ石けんで拭き残りがあっても、赤ちゃんには注意が必要ですが、大人がふだんから素足で歩いていれば、足の裏の皮脂で中和されて無害なものに変わっていきます。

フローリングの溝の掃除やカビ、どう掃除する?

── フローリングの溝に汚れがたまって黒くなっている場合は、どのように汚れを落としたらいいでしょうか。

 

茂木さん:

溝も同じように希釈液を吹きかけ、U字型の金属枠にブラシ材を挿入した「チャンネルブラシ」で磨けば汚れが落ちていきます。チャンネルブラシがない場合は古歯ブラシをL字に曲げ、毛先を斜めにカットするとフローリングの隙間をとても楽に掃除できますよ。最後は乾拭きで仕上げます。

 

── 布団を直接敷いたフローリングだと、寝汗などでカビが生えてしまうこともあるかと思います。カビの落とし方は?

 

茂木さん:

フローリングの下までカビがあってあまりにも黒い場合は、自分で掃除するのは難しい。張り替えも検討すべきかと思います。ただ、表面にカビがあるだけなら、アルコールスプレーを使えばある程度は落ちるでしょう。吹きかけて雑巾でしっかり拭いてください。

 

クエン酸水をかけながら床掃除する

窓掃除はマイクロファイバークロスの使い方に注意!

── 窓掃除も、同じように無添加の水石けんで掃除できますか?

 

茂木さん:

窓の内側は皮脂汚れや油汚れがついているので床掃除と同じで大丈夫。ただ、マイクロファイバークロスを使うと拭き残して繊維の跡が残ることがあります。マイクロファイバークロスで拭き残さないコツは希釈液で水拭きした後、すぐに乾拭きすること。

 

両手にマイクロファイバークロスを持ち、片手で水拭きし、もう片方の手で乾拭きします。この2つの拭きの間が短いほど、繊維も拭き取ってくれるのでおすすめです。また窓の外側は土ぼこりがメインなので水拭きするだけです。

 

── 窓掃除で気をつけるべきポイントは?

 

茂木さん:

外側はこれで落ちなければ水アカがついている可能性があります。水アカは酸性の洗剤でないと落ちません。

 

スプレーボトルに45℃ぐらいのお湯400ミリリットルと、クエン酸小さじ2杯を入れて溶かしたクエン酸水を窓全体に吹きかけ、スポンジで汚れを落としていきましょう。少しおいて水ですすぎ、スクイージーと鹿の皮を油でなめした「セーム革」で拭きあげます。セーム革は洗車で使う人も多いと思いますが、窓掃除でも活躍します。

 

また、ガラス面を少しでもキレイにしたいのであれば、洗剤残りが原因のスジ汚れを出さないことがポイント。そのため洗剤を使う際には、なるべく泡立ちが悪い水っぽい洗剤を選びたいですね。水拭きしたらすぐに乾拭きするとスジ汚れが目立たなくなります。

※今回紹介した掃除方法は茂木さんおすすめの方法です。住宅設備などによって然るべき掃除方法が異なる場合がありますので、それぞれ利用上の注意などを読み、各自の判断で行ってください。 

 

PROFILE 茂木和哉さん 

秋田県出身。独学で掃除と洗剤作りを学び、汚れ落とし歴25年の経験を活かして情報発信や自分の名前をつけた洗剤を多数開発。著書に『茂木和哉 落ちない汚れをラクに落とす掃除術』がある。 

取材・文/秋山悠紀 イラスト/かりた