浴室の天井を拭き掃除する男性

頑固なカビ汚れが付着したお風呂場は、大掃除も大変。負担を少しでも軽くし、効率的に終わらせるために大事なことは「順番」だと、汚れ落とし研究家の茂木和哉さん。では、掃除するなら、どこから手をつけるべきですか。

床掃除を効率化するなら「順番」が大事

── お風呂場は、キッチンと並んで大掃除が難しい場所のイメージがありますが、どのように掃除を進めたらいいでしょうか。

 

茂木さん:

まずは黒カビを落としていきましょう。塩素系洗剤で黒カビを落とすと、皮脂汚れや赤カビも同時に落ちていきますので、あとは酸性洗剤で落とせる汚れしか残らないと思います。

 

塩素系洗剤を使うなら最初に、床を含めてお腹よりも下あたりの高さから掃除していきます。天井や壁の高い部分なども含めて浴室全体をいっぺんに掃除すると塩素のニオイがキツくなるのが理由です。また、黒カビは足元のほうがひどくなりがちなので、まずは床から。

 

塩素系洗剤は触れると危険だし、ニオイもキツいので作業効率を上げて早く終わらせるためにも触れないようにしたいです。また、足の裏に塩素系洗剤がついてしまうと気づかぬうちに、洋服に触れて漂白されてしまうことも。触れないように、お風呂の奥から手前の入り口に向かって掃除していく順番が正解です。

 

もしカビを落としを終えてもまだ水アカが気になるようなら、別の日にクエン酸を水で40倍に薄めた希釈液を使って、スポンジ洗いで仕上げていけば、どちらの汚れも落ちると思います。塩素系洗剤と酸素系洗剤が混ざると有毒ガスが発生して危険なので、必ずしっかり洗い流した上で別の日に行ってください。

ゴムパッキンはキッチンペーパーで洗剤を浸透させて

── それでは次に、浴室の壁と天井の掃除について教えてください。

 

茂木さん:

壁面はスポンジを使うといいです。洗剤をしっかり付着させたいので、しっかりスプレーし、液垂れしないようにスポンジで素早く洗っていきます。30分ほど放置したらシャワーでしっかり流しましょう。

 

それでもゴムパッキンやコーキングは汚れが落ちないことがあります。その場合は、液体タイプの塩素系洗剤を吹きかけたキッチンペーパーやハンドタオルなど、液を含ませられる厚手のもの湿布のようにペタペタと貼って、半日以上くっつけておきます。

 

天井は液体タイプの塩素系洗剤を水で100倍希釈した液体を、雑巾やクロスに含ませてから、全体を拭き掃除します。100倍希釈することで安全性は高まりますし、クロスにスプレーしてから拭くので洗剤が目に入るリスクも下がります。

 

天井に直接スプレーするのは絶対にNG。拭き残したくないので、フローリングモップなどではなく脚立や踏み台を使って直接手で拭くといいですね。天井の黒カビはカビ菌の胞子がお風呂全体で繁殖しやすくなるので、しっかり胞子を退治するとお風呂全体が汚れにくくなります。

 

また天井掃除には界面活性剤が入っていない衣類用の塩素系洗剤を使えば、その後に水で洗い流す必要がありません。もし塩素のニオイに敏感な方は水拭きしても。ただし、水アカがつくのでシャワーを使うのはおすすめしません。

浴室の大掃除は1日で終わらせなくてもいい

── 塩素系洗剤はニオイがキツいので扱いが難しく感じます。お風呂掃除で使う際の注意点はありますか?

 

茂木さん:

まずは必ず換気扇を回して、ゴム手袋をはめて行うことですね。また、汚れがひどいほど成分と反応してニオイが強く出ます。浴室全体でカビがひどい場合は、1日で全部やろうとしない。床、壁、天井など掃除する日を分けて進めるのもおすすめです。

 

床を終わらせたら、しっかり洗い流して換気扇を回し、別の日に次の壁を終わらせるといったやり方だとラクです。塩素系洗剤のニオイが苦手な方はムリせずに行ってください。

 

PROFILE 茂木和哉さん 

秋田県出身。独学で掃除と洗剤作りを学び、汚れ落とし歴25年の経験を活かして情報発信や自分の名前をつけた洗剤を多数開発。著書に『茂木和哉 落ちない汚れをラクに落とす掃除術』がある。  

取材・文/秋山悠紀 イラスト/かりた