年末の大掃除で入念にやっておきたい場所と言えば水周り。特にキッチンはさまざまな種類の頑固な汚れがたまっているので、「やり方」や「使う道具」には気をつけたいものです。汚れ落とし研究家の茂木和哉さんに、キッチンの大掃除のコツについて聞きました。
キッチンはスポンジ研磨剤でピカピカに
── キッチンの大掃除はふだんできない場所をしっかり掃除したい人が多いと思います。「ここだけは掃除しておくべき」ポイントはありますか?
茂木さん:
まずはグリルの中やシンク周りには、焦げや油汚れ、水アカがびっちりついているので重点的に掃除したいですね。あとはレンジフード。外側は簡単に掃除できますが、内側やフィルターなどはふだんから掃除しないケースがあり、年に1度はしっかり大掃除しましょう。
ステンレスシンクの水アカは、クエン酸などの酸性洗剤(なければ、お酢など)を使うとだいたい落ちます。長く出したラップを畳んで手のひら程度の大きさにしたラップたわしの上に酸性洗剤をつけて、こすっていきましょう。
それでも落ちなければスポンジ研磨剤を使います。私もやったことがありますが、3Mなどのスポンジ研磨剤を番手の荒いものから順番に使って磨いていくと、業者さんに掃除してもらったようにピカピカになりました。このスポンジ研磨剤は人工大理石のワークトップの掃除にも効果的です。
グリルの中は「湯せん」で洗浄力アップ
── 意外と簡単なんですね。グリルの中はどうでしょうか。
茂木さん:
グリルの中には、油や食べ物が繰り返し加熱され、焦げが炭化して付着しています。頑固な汚れですが、食べ物が直接触れる場所なので強い洗剤は抵抗感があると思います。
まずは油汚れを落とすために、アルカリ電解水や一般的な水石けんなど、合成界面活性剤や添加物が使用されていない洗剤を吹きかけ、5分ほど放置してください。そのあと、キッチンペーパーで汚れを拭き取ります。アルカリ電解水と水石けんをどちらも持っている場合は、2つを混ぜた液体を湯せんすると、さらに洗浄力が上がります。
次に、厚手で固いプラスチックヘラやカーボンヘラ、割り箸の先に輪ゴムで装着した研磨スポンジなどを使って、ガリガリと焦げをこそげ落していきましょう。ヘラはボロボロになるので、複数本用意してください。
レンジフードのフィルターはつけ置き洗いが効果的
── レンジフードの効果的な掃除方法を教えてください。
茂木さん:
メーカーによって素材は異なりますが、基本的にレンジフード全般はアルカリ性洗剤を使うと素材を傷めるので、中性洗剤を使います。ただ中性洗剤は汚れが落ちにくい。べったりと油汚れがついているフィルターの掃除は、熱の働きを利用したつけ置き洗いが効果的です。
外やお風呂場などで大きめの段ボールに厚手のポリ袋を2枚重ねて設置。中性洗剤と60度ほどのお湯を入れて洗浄液を作り、フィルターを浸けておきます。30分から1時間後、洗浄液に浸かった状態で歯ブラシやチャンネルブラシで軽くこすれば、簡単に汚れが落ちますよ。あとは台所洗剤とスポンジで洗い流します。
── レンジフードの中はつけ置き洗いができませんが、ポイントはありますか?
茂木さん:
レンジフードの中は、ヘラでへばりついた油汚れをこそげ落とします。その後にお風呂用のスプレータイプの中性洗剤を吹きかけて、汚れを拭き取ってください。
ただ、目より高い部分はスプレーすると危険なので、クロスに泡の出るスプレータイプの洗剤の泡を山盛りに乗せて、そっと塗って5分程度置いておきます。次にスプレーして濡らした状態のクロスで拭いていくといいですよ。油汚れなので使用するクロスは雑巾ではなく、使い捨てタイプのペーパーを使うのがおすすめです。
※今回紹介した掃除方法は茂木さんおすすめの方法です。住宅設備などによって然るべき掃除方法が異なる場合がありますので、それぞれ利用上の注意などを読み、各自の判断で行ってください。
PROFILE 茂木和哉さん
秋田県出身。独学で掃除と洗剤作りを学び、汚れ落とし歴25年の経験を活かして情報発信や自分の名前をつけた洗剤を多数開発。著書に『茂木和哉 落ちない汚れをラクに落とす掃除術』がある。
取材・文/秋山悠紀 イラスト/かりた