「夫婦だから何でもわかりあっていなければいけない」わけではありません。ただ、必要以上に秘密にされると、配偶者としては不安になります。「どうしたらいいのか…」と、悩んでいる女性もいるようです。
家計チェックされる日曜の夜が苦痛
取材や知人の話からは、生活費のみを渡す夫が増えている印象もありますが、月給なのに生活費は1週間ごとの家庭もあります。
「7歳と5歳の子どもがいる4人家族ですが、夫は毎週、日曜夜に今週の生活費として1万5000円を渡します。子どもの習い事の月謝がある時は、申告しなければならない。けっこう家計をチェックされるので、日曜日の夜が苦痛なんです」
そう話すのはマキさん(39歳・仮名=以下同)です。10歳年上の夫は、もともと職場の先輩。どこか遠慮が残っている、と自分でもわかっているそう。
「私は結婚して退職したけど、夫の収入はだいたい察しがつきます。でも夫は頑なに明細も見せないし、貯蓄額も教えてくれない。夫のことは今も信頼はしているけど、かなりの秘密主義にはうんざりしているところです」
共通の知人も多いのに、夫は職場の話題はいっさいしません。週末、たまに夫はひとりで出かけますが、どこに行くの?と聞いても「ちょっと」と言うだけ。帰ってきてからも、どこに行ったとか、誰に会ったとか具体的な話はしないそうです。
「子どものことはかわいがっているし、私が話しかければ会話もする。でも、この人は何を考えているのだろう、仕事と家庭以外にどんな時間をもっているんだろうと…。心が通い合っている気はしないんです」
それが寂しい、とマキさんは顔を曇らせます。
夫の親戚づきあいさえわからない
夫は中国地方の出身。親戚のことは少し聞いたことがありますが、つきあいはほとんどありません。
「結婚前に義父は亡くなっていて、結婚2年後には義母も他界。そのとき私は妊娠中で、『お通夜も、お葬式も来なくていい』と夫に言われたんです。だから親戚関係が今もよくわからなくて…」
マキさんの両親は健在で、自宅から30分圏内に住んでいるため、子連れでときどき実家に遊びに行きますが、夫はほとんど来たことがありません。
「『一緒に行かない?』と聞いても『いいよ、行っておいで』と。私が行くことには何もいいませんが、自分は行こうとしない。私の親戚の冠婚葬祭も来ませんが、ご祝儀やお香典は出してくれます。それも言いづらいので、最近は私もあまり親戚づきあいをしなくなりました」
少しは自分の自由になるお金がほしいため、マキさんは最近、短時間のパートに出るように。ただ、収入があると夫からの生活費を減らされそうなので、パートの件は夫には内緒です。
「私まで秘密をもつようになって、心苦しいんですけどね。ただ、なぜ夫は心を開いてくれないのか、それが結婚10年にして大きな悩み。先日も選挙の話をしようとしたら『政治がらみの話はしたくない』と言われちゃって」
モラハラ夫?にいつまで耐えればいいのか…
「我が家の夫婦の会話は、子どものことと家計費チェックの際に交わされる『これ、何のために買ったの?』という圧力だけ(苦笑)。学生時代からの友人にその話をしたら、『私だったら、“家計くらい任せなさい”って言ってやる』って。
もっと強気に出ればいいのに、と励まされたマキさん。ただ、夫は弁が立つし理屈で攻めてくるから言い返せる自信がありません。「それをモラハラっていうのよ」と友人には言われました。
ただ、家族で出かけると、夫は「いいパパ」ぶりを遺憾なく発揮。そんな時は幸せを覚えるものの、日曜の夜はやはり緊張する時間が待っている。彼女の心理は複雑です。
「耐えられなくなる時が来るまでは、このままでいくしかないとあきらめています」
友人から言われた「モラハラに麻痺しないようにね」の言葉が、心に残っていると彼女は小さくつぶやきました。