寒さがますこれからの季節は特に、体調管理には気をつけたいものですよね。
そのためにも、細菌やウイルス、花粉などの外的(異物)から体を守る「免疫力」を高めることが有効だと言われています。でもいったいどうやって
──。粘膜免疫の強さはIgAの量で決まる
感染症の予防に働く免疫力で中心的な役割を果たしているのは”IgA”という免疫物質です。
この”IgA”は目や鼻、口、腸などの粘膜部分に存在し、病原体などの異物を体内に侵入させないように防御しています。これを粘膜免疫というのですが、IgAはその働きに関わる重要な物質と言われています。
IgAが多く存在する部位
涙液 / 鼻汁 / 唾液 / 初乳および母乳 / 十二指腸分泌液 / 腸管分泌液 / 空腸分泌液 / 結腸分泌液
IgAは、唾液や鼻汁、消化管をはじめ、全身の粘膜中に分泌され、これらの粘膜表面で侵入しようとする細菌やウイルスなどの異物を見つけだし、その攻撃を無力化します。たんぱく質でできており、免疫グロブリンとも呼ばれます。
IgAは赤ちゃんも守る免疫物質
生後すぐの赤ちゃんは免疫機能が未発達なので、それを補うために母乳には免疫グロブリンが多く含まれています。とくに初乳はIgA量が最大級。赤ちゃんは母乳によって感染から守られています。
乳酸菌で唾液中のIgAが増える
粘膜免疫の強さは、このIgAの分泌量が目安とされています。IgAの量が低下すれば、粘膜のバリアが破られて病原体が侵入し、病気にかかりやすくなってしまうわけです。
近年、腸とIgAに関する研究によって、特定の乳酸菌を経口摂取することにより、唾液中のIgAが増えることが明らかになりました。
乳酸菌B240の摂取で風邪の罹患率が低下
研究ではさまざまな乳酸菌が検査され、その結果、植物由来の乳酸菌
Lactobacillus pentosusONRICb0240(乳酸菌B240)がIgAを作り出す力が高いことが確認されました。
では、実際に、IgAの分泌を促す乳酸菌B240は、体にどのような変化をもたらすのでしょうか。
高齢者を対象に、風邪の予防に関する臨床試験が行われました。その結果、乳酸菌B240の摂取群は非摂取群に比べ風邪をひきにくく、さらに摂取量が多いほど風邪の罹患率が低下することがわかりました。
乳酸菌B240は古くからの健康食材
乳酸菌B240といってもあまり耳慣れないかもしれませんが、これは植物性由来の乳酸菌で、タイ北部では古くから健康食材として食されているもの。加熱処理しても有効性を発揮するので常温保存が可能です。
取材協力/大塚製薬株式会社
※この記事は主婦と生活社『すてきな奥さん』2022年新春1月号で掲載した記事を転載しています。※掲載した画像はイメージです。