悩んで見つけた、自分の器への思いと適量

そしていろいろ調べる中でたどり着いたのが、応量器でした。

 

これがあれば食器棚が要らない。 キッチンのシンク下の収納で十分いける!とテンションが上がりましたが、いくつかの壁にぶつかりました。

 

まず漆器であるということ。 漆は電子レンジ不可なので、器を応量器のみに絞ると、レンジで温めるという方法がとれなくなります。それはあまりに不便。

 

それに加えて、それまで買い集めた民藝の器に思い入れがありました。 土っぽい質感のもの、ぽってりしたガラスの器、友人から誕生日にもらったセラミックの器。 それぞれにカレーに合うとかエスニック料理に合うとかぴったりのシーンがあり、それぞれの個性がありました。 漆器という一種類の素材になると、使えなくはないけれどテイストがフィットしない料理も出てきます。

 

食事にどれくらい重きを置くかは人それぞれです。

ステンレスボウルをそのまま食卓に出して、それ以外の食器を持たないで調理器具と兼ねて数を少なく保つ人もいます。 他のジャンルはものを少なくしていても、料理というジャンルに思い入れがあり、器はある程度持ちたいという人もいます。

 

我が家の場合、そこまで料理に思い入れが強いというわけではありませんでしたが、 やっぱり民藝の器が好きだな、という自分の器への思いが見えてきました。

 

そこで、数は絞りつつも、今持っている器を残すことにしました。 食器棚は買わずに、イタリアのカルテル社製の「コンポニビリ」という、円柱形のコンパクトなリビング収納を食器収納として転用することにしたのでした。場所をとらず、また女性ひとりでも持ち運べるほど軽いので、引越しの際もラクでした。

 

食器の買い方も見直しました。これまでのような行く先々で買うスタイルだと無尽蔵に増えていくので、 各用途別に定数を設けました。割れたりして入れ替えが必要になったら新しいものを買うスタイルに変えて、物量が増えるのをコントロールできるようになりました。

 

これは、かつて大量に持っていたバッグの数を絞って、白のコットントートひとつにしてみたものの、TPOに合わなくて不足感を覚え、結局3つのバッグに落ち着いたという出来事にも通じると思っていて、ある程度コーディネートを楽しみたい好きなジャンルのものを絞りすぎると、生活スタイルに合わなくて結局、買いたすことになるなと感じました。

 

例えば、誰か憧れている人が極限の数で暮らしていても、その絞り具合が自分にもフィットするかはわかりません。 「自分はどれくらいを適量だと思うのか?」が大事なのだと感じています。

 

文・イラスト/おふみ 構成/阿部祐子