最近の研究により、幸せは4つの要素からできていることが科学的に証明されているそうです。幸福学の第一人者である慶應大学大学院の前野隆司教授と『99.9%は幸せの素人』という著書を書かれた星渉さんに話を聞きました。

楽観的に見られる人が幸せになる

── 研究により、幸せを構成する4つの要素が明らかになっているそうですが、具体的にはどんなことですか?

 

星さん:

次の4つの要素が幸せを形作ると言われています。 1.「やってみよう」と思い、何かに挑戦していること 2.「ありがとう」という感謝の気持ちを抱くこと 3.「何とかなる」と、物事を楽観的に見ること 他人の目を気にせず、「ありのまま」でいられること

 

── 3つ目の要素に「物事を楽観的に見られるママが幸せになる」とありますよね。つまり心配しすぎるママは幸せになりにくい、ということですか。

 

星さん:

そうですね。楽観的で気持ちの切り替えがうまい人ほど幸せになりやすい。不安が少ない人の方が幸せを感じやすいとされています。

 

── でも、例えば子どもの身の安全や将来のことなど、母親であれば心配はつきません。

 

星さん:

そうですね。お母さんは子どものことを心配するものですからね。

言葉をコントロールする

── どうしたら楽観的になれますか。

 

星さん:

いちばん簡単な方法は言葉をコントロールすることだと思います。

 

楽観視できない方々というのは、基本的に、自分を心配させたり、不安にさせたりする言葉を発していたり、心の中で言ったりしていることが多い。

 

そこで、自分自身の気持ちを切り替えることができる言葉、「大丈夫でしょ」とか「ま、いっか」を意図的に使ってみると、楽観的になれると思います。

 

── 言葉だけで変われるものでしょうか。

 

星さん:

言葉は脳をコントロールしているんです。「カラーバス効果」と言いますが、例えば「今、部屋にいくつ白いものがありますか」と聞いたら、白いものを探しますよね。それは、言葉を聞いて、脳が対応するから探すわけです。

 

自分自身の脳も言葉でコントロールするというのが、心理学的にも脳科学的にも正しいやり方ですね。

降水確率3%で今日の天気を心配しますか?

星さん:

それに、心配したことが実際に起きる確率はわずか13%だと言われています。

 

── そんなに低いんですか。

 

星さん:

そういう科学的研究があるんです。実際に不安に思ったことをメモしておいて、1か月後に振り返った時、その通りになったものはどれだけあるのかという調査があって、不安に思ったことを書いて、実際にそうなったか見たら、実際に起きたのは13%でした。

 

そのうち9割は自分の力で解決できるものだったので、本当にどうしようもなくて、その通りになったことはたったの3%だけだったんです。

 

もったい無いですよね。降水確率3%で毎日、「雨降らないかな」と心配しながら出かけますかという話です。1日台なしじゃないですか。

 

PROFILE 星渉さん

作家、講演家。1983年仙台市生まれ。心理学、行動科学をベースにした人材育成をする株式会社Rising Star代表取締役。大学時代の塾の講師をし、当時から心理学的手法を用いて子供達に勉強を教えてカリスマ講師として話題に。大学卒業後、大手損害保険会社に勤務。東日本大震災で岩手県で被災し、「自分の残りの人生は好きなことに費やす」と決意し2011年に起業。国内やニューヨーク、パリなどでも講演会を行い、1万2000人以上が参加。育成した起業家は600人以上。現在は札幌市と東京を行き来するデュアルライフを送る。著書『神メンタル』『神トーーク』『99.9%は幸せの素人』は累計30万部を超えるベストセラーに。

取材・文/天野佳代子