3.敷金を返してもらえないパターンとは?


敷引き特約

しかし実際には、賃貸借契約締結時に「敷引き特約」がついていて、賃貸人が敷金の満額返還に応じないことが多いです。 敷引き特約とは、賃貸借契約の終了時において、当然に一定の金額を敷金から差し引くとする特約です。たとえば、「契約当初に30万円の敷金を差し入れ、20万円を敷引きとして、契約終了時には残りの10万円のみ敷金を返還する」と定められているケースなどです。

 

敷引き特約が無効になる可能性

しかし、敷引き特約は必ずしも有効になるとは限りません。消費者契約法は、消費者に一方的に不利益になる契約条項は無効であるとしています。また、最高裁判所も「敷引き金額が一般的な相場と比べて過大な場合には、特段の事情がない限り、敷引き特約が無効になる」と判断しています(平成23年3月24日)。

 

そこで、大幅な敷引き特約がついていたとしても、その特約は無効であると主張して、敷金の満額返還を求められる可能性があるということです。