2.敷金はどこまで返してもらえるの?


しかし、実際には敷金全額の返還を受けられるケースは少ないです。

 

原状回復費用を差し引かれる

契約期間中には、どうしても賃借人が物件を汚したり損傷させたりするので、そういった分については敷金から差し引かれます。そこで、敷金を返還してもらう際には、「原状回復費用」を差し引かれます。原状回復費用とは、物件を契約当初の状態に戻すためにかかる費用です。たとえば壁紙を汚していたり床に穴を開けていたり、建物内部を改造していたりすると、それらを元に戻すための工事の費用が差し引かれます。

 

経年劣化分は差引の対象にならない

敷金から原状回復費用を差し引かれるとしても、建物は時間が経つと自然に劣化していく物ですから、完全に借りたときと同じ状態に戻すことまでは求められません。こうした経年劣化にもとづく損耗については、賃借人の原状回復義務の範囲に入らないのです。元に戻さないといけないのは、特に賃借人による建物利用方法に問題があって、物件を損傷させたケースや改造を加えたケースなどです。

 

shutterstock_693527632

 

たとえばペットを飼っていて建物内部の壁やドアを大きく傷つけてしまった場合や、タバコを吸っているので壁を変色させたしまった場合、カギを紛失してカギ交換が必要になった場合などに費用負担が発生します。賃貸借契約では、賃借人がハウスクリーニング代を負担する内容になっていることが多いのですが、賃借人が清掃を行うのであれば必ずしも負担する必要はありません。