添付ファイルのついたメールを送るときや受け取ったときの言葉には「ご確認ください」「ご査収ください」「拝受しました」などさまざま表現があり、どれがふさわしいのか迷うこともあるでしょう。
それぞれのフレーズに適したシーンにはどのようなものがあるのでしょうか。日本ビジネスメール協会の直井章子さんに解説していただきます。
メールでデータの受け渡しをするときのマナー
データを添付したメールを送る際は、添付されていることを相手が見落とさないよう、メール本文にデータを添付したことを明記しましょう。
添付されたデータの内容は開いてみないとわからないため、何に関するデータを送ったのかについても本文にしっかり記載します。
「ご不明な点がありましたら〇〇までご連絡ください」と添えると、より親切でしょう。
一方、メールを受け取ったら、なるべく早いうちに返信をするのがマナーです。
こちらにきちんと届いたかということや、内容を確認したかどうか相手は気になるもの。
データの内容確認に時間がかかる場合は、メールを受け取ったことと返答期限を書いて返信し、あとであらためてしっかり確認したことを連絡するという方法もあります。
こちらが依頼したデータを送ってもらったときは「お忙しい中ご対応いただきありがとうございます」などと感謝を伝える言葉も書くと印象が違います。
「査収」や「拝受」はどう使うの?
データを添付したメールを送るときや、受け取った旨を返信するときに迷う方もいるのが、「査収」や「拝受」などの言葉の使い方。
ファイルを添付してメールを送り、相手に確認をお願いする場合は「ご確認ください」や「ご査収ください」、自分が受け取ったことを相手に伝える場合は「拝受しました」などの言い回しがあります。
メールの文章で一番大切なのは、伝えたいことが相手にきちんと伝わるかどうかです。
かしこまった言葉を使うことが必須ではないため、「確認をお願いします」「受け取りました」などの簡単な表現でも問題はないでしょう。
添付ファイルの確認をお願いするときの文例
相手に何をお願いしたいのかを考えて、場面に適した言葉を選びましょう。
「ご査収ください」
「査収」にはよく調べて受け取るという意味があり、データの中身をしっかり確認してほしい場面に適しています。
ただ、受信者が、調べて受け取ることに違和感を覚える場面にはふさわしくありません。相手がどう感じるかを考えて言葉を選びます。
「ご査収のほどよろしくお願いいたします」などのように、締めの挨拶で使われることもあります。
「ご確認ください」
メールでデータを送る際に広く使えるフレーズです。
「ご確認のほどよろしくお願いいたします」と締めの挨拶にすることも、「添付資料に記載の品名・数量について間違いがないかご確認ください」と具体的に確認してほしい内容を付け加えてお願いすることもできます。
メールでデータを受け取ったあとに返信するときの文例
データを受け取ったことや確認したことを表現するフレーズにも、さまざまなものがあります。自分がとった行動にあわせて適した言葉を選びましょう。
「拝受しました」
「拝受」は受け取ることをへりくだって表現した言葉です。
「拝受しました」は丁寧な印象がありビジネスメールで使いやすいフレーズですが、単純に受け取ったことのみを表すため、内容を確認したという意味は含まれません。
あわせて「内容を確認したところ問題はありません」などの一文を加えるとよいでしょう。
「受領しました」
「受領」は受け取ることを表す言葉です。
丁寧な印象を与えたい場合は「受領いたしました」「確かに受領いたしました」などとするとよいでしょう。
この言葉にも内容を確認したという意味は含まれないため、確認したことを返信で伝えたい場合は別に一文を付け加えましょう。
「確認しました」
「確認」ははっきり認めることを表す言葉で、メールでデータを受け取り確かめた際に広く使えるフレーズです。
確認の前段階として受け取ったことも同時に伝えられるため、受け取ったことの表現に迷う場合は「確認いたしました」と書くだけでも十分でしょう。
相手に不安をあたえないビジネスメールのやりとりを
データを添付したメールを送る際には「ご査収ください」「ご確認ください」など何をしてほしいのかを明確にし、受け取った際には「拝受しました」「確認しました」などと、届いたことや確認したことをしっかり伝える必要があります。
メールで大切なのはどのような言葉を使うかではなく、相手を不安にさせないよう、自分の行動や意図をきちんと伝えること。
真摯な対応と言葉でやりとりをし、相手と良好な関係を築いていきましょう。
PROFILE 直井章子(なおいしょうこ)
ビジネスメール教育の専門家。一般社団法人日本ビジネスメール協会専任講師。同協会にて、ビジネスメールの教育研修プログラムの開発、実態調査や検定試験に携わり、研修やセミナーでの講演、執筆など活動は多岐に渡る。著書・監修本に『このフレーズが決め手! 伝わるモノの書き方のコツ』(ナツメ社)、『カリスマ講師に学ぶ!実践ビジネスメール教室』(日経BP社)、『ビジネスメールの常識・非常識』(日経BP社)がある。
取材・構成/水谷映美