しばらく連絡をしていなかった相手にメールを送るとき、冒頭の挨拶に迷うこともあるのではないでしょうか。相手とのつながりを良好に保ちたいビジネスシーンならなおさら、状況や相手との関係性に合った挨拶を使えるといいですよね。
ビジネスシーンでよく耳にする「ご無沙汰しております」という挨拶は、実際にどのように使うとよいのでしょうか。
目次
「ご無沙汰しております」と「お久しぶりです」どちらを使う?
取引先や過去に仕事で関わった相手に久しぶりのメールを送るとき、冒頭の挨拶に「ご無沙汰しております」と「お久しぶりです」のどちらを使えばよいか迷うこともあるかもしれません。
ビジネスシーンで用いられることの多い代表的な挨拶としては、「ご無沙汰しております」が挙げられるでしょう。
「無沙汰」は長い間連絡や訪問をしないことで、「ご無沙汰しております」という言い回しは、ビジネスシーンで使われています。
一方、「お久しぶりです」という言葉は「ご無沙汰しております」と比較すると少しカジュアルな印象を持つ方もいるかもしれません。ある程度近しい関係の相手であれば、親しみを込めて使用するのもよいでしょう。
「お久しぶりです」を使うか迷った場合は「ご無沙汰しております」という言葉を使用する方が無難でしょう。
久しぶりに送るメールの目的は「途絶えていたコミュニケーションの再開」
久しぶりに連絡をするときに限らず、メールを送る際に大切なのは目的です。
メールを送ってコミュニケーションを再開したいのであれば、相手に自分を思い出してもらい、「返信をしよう」と思ってもらうことが必要です。
重要なのは、メールを送った相手がどのように受け取るかということ。
相手の人柄や築いてきた関係性を考え、相手の気持ちを想像して言葉を選ぶことがポイントです。
このポイントは挨拶だけでなく、その後に続けて書く要旨や詳細についても同じことが言えます。
過去の相手とのコミュニケーションを思い返しながら、自分とのやりとりを再び始めようと思ってもらえるような文章を心がけましょう。
「ご無沙汰しております」を使った挨拶文の文例とテクニック
実践編として、ビジネスシーンで用いられることの多い「ご無沙汰しております」を使った挨拶の文例を3つご紹介します。
「ご無沙汰しております。〇〇社の〇〇です。昨年は〇〇にご登壇いただきありがとうございました」
長い間連絡をしていなかった相手にメールを送るときは、社名や名前だけの記載だと、過去にどのような関りがあったか思い出してもらえない可能性もあります。
最後にやり取りした場面や関わった仕事などを書くと、自分の存在をスムーズに思い出してもらいやすくなるでしょう。
メールの返事をもらうためには、接点があったことを思い出してもらう必要があります。
自分の存在をしっかり認識してもらうことで、その後の行動につながりやすくなるのではないでしょうか。
「お世話になっております。〇〇社の〇〇です。昨年のプロジェクト以来、大変ご無沙汰しております」
冒頭にビジネスメールでよく使うフレーズの「お世話になっております」と名乗りを入れた上で、「ご無沙汰しております」と一言添えてもよいでしょう。
前回の連絡から間がかなりあいている場合は、「ご無沙汰しております」の頭に「大変」という言葉を付け加えると、かなり長い時間がたっていることを相手に理解してもらえます。
「ご無沙汰しております。〇〇社の〇〇です。その後いかがお過ごしでしょうか」
近況をたずねる「いかがお過ごしでしょうか」という言葉は、添えることで相手を思いやる気持ちを伝えることができます。
「いつのまにか桜の季節になりましたが、いかがお過ごしでしょうか」「暑い日が続いておりますが、いかがお過ごしでしょうか」などの季節に絡めた挨拶は書きやすく、「自分のことを気にかけてくれている」という印象を与えられるでしょう。
挨拶に続けて自分の近況を簡単に添えると、久しぶりの連絡でもかつての親交を思い出してもらいやすいかもしれません。
久しぶりに送るメールの挨拶は状況や相手に合わせた言葉選びが大切
久しぶりにメールを送るときは、状況や相手との関係性に応じて「ご無沙汰しております」や「お久しぶりです」を使いながら、初めてメールを送るときと同様に場面にあった挨拶を心がけましょう。
相手に自分の存在を思い出してもらいコミュニケーションを再開するためには何が必要か、メールを受け取った相手の気持ちを第一に考えながら言葉を選ぶ必要があります。
過去のつながりを踏まえて気持ちを込めた挨拶で、円滑なコミュニケーションができるといいですね。
PROFILE 直井章子(なおいしょうこ)
ビジネスメール教育の専門家。一般社団法人日本ビジネスメール協会専任講師。同協会にて、ビジネスメールの教育研修プログラムの開発、実態調査や検定試験に携わり、研修やセミナーでの講演、執筆など活動は多岐に渡る。著書・監修本に『このフレーズが決め手! 伝わるモノの書き方のコツ』(ナツメ社)、『カリスマ講師に学ぶ!実践ビジネスメール教室』(日経BP社)、『ビジネスメールの常識・非常識』(日経BP社)がある。
取材・構成/水谷映美