オフィスでメールを打つ女性

ビジネスメールは、仕事をスムーズに進めていくために不可欠なツール。最近はチャットなどを使う機会も増えてきましたが、社外の人との連絡手段となると、まだまだメールが主流です。ただ、人によっては一日に100通近いメールを受け取っているため、重要な内容を書いたメールが見落とされる、開封してもらえないという事態も。そこで、メール開封のカギとなるのは、メールを送ったときに表示される「件名」です。

 

内容が相手にひと目で伝わり、必ずメールを開封してもらうためには、件名をどのように表現したらいいでしょうか? 

目次

メールの件名は「簡潔に」「わかりやすく」が鉄則

メールを受信すると、まず目に入るのが「差出人」と「件名」です。

 

皆さんがメールを受信したときも、誰から届いたかをチェックしつつ、件名を見てメールの内容を判断することが多いのではないでしょうか?

 

相手が忙しい人ほど、急を要する内容ではなさそうなメールは、後回しにされてしまう可能性も。そのため、ビジネスメールの件名は、「簡潔に」かつ「わかりやすい」表現を心がけることが大切です。

 

文字数は30字程度にすると、パソコンで読んでも、スマホで読んでも、伝わりやすくなります。重要なワードを文頭に持ってくると、目に留まりやすくなるでしょう。

「具体的な内容」「日時」などを盛り込む

次に意識したいのが、件名に具体的な内容を盛り込むということ。

 

たとえば、 件名:打ち合わせについて この書き方では、すでに終わった打ち合わせのことなのか、はたまた今後予定されていることなのか、打ち合わせについて何がしたいのか判断がつきません。

 

そこで件名に盛り込みたいのが、具体的な内容です。 件名:4/26(月)新商品打ち合わせ資料確認のお願い これなら、いつ何に関する打ち合わせなのかということと、資料の確認を依頼することについてメールに書かれていることが一発でわかります。

 

ちなみに、件名を空白にするのは絶対にNG!誤送信したのかと勘違いされてしまいますし、迷惑メールの一種だと思われてしまうことも。送信ボタンを押す前に必ず件名を確認することも大切にしましょう。

【】を使ってメリハリを付ける

ほかにも、より目に留まりやすくするために、【】()といった、かっこを使うのも工夫のひとつです。

 

たとえば、先程の件名で強調したい部分に【】を使って、 件名:【お願い】4/6(月)新商品打ち合わせ資料確認 とすると、メールの用件が「4/6(月)に開催する新商品の打ち合わせに関する資料の確認を依頼すること」であるとひと目でわかるように。

 

このほかにも、【ご相談】【ご質問】【御礼】などという文言を文頭に入れると、メリハリがついてわかりやすい件名になるでしょう。また、急ぎで返事が欲しい場合は【至急】と入れておくのもひとつの方法です。

 

ただし、あまりに【至急】や【重要】を多用してしまうと、「この人は、いつも返事を急かしてくるな」とあまり良くない印象を与えてしまう恐れがあるので注意しましょう。

 

【至急】と件名に入れる場合は、本当に急ぎの用件のみにするのが重要なポイントです。

相手からのメールに返信するときの「Re:」の取り扱い方

相手から受け取ったメールに返事をするとき、「返信」ボタンを押すと、自動で件名の頭に付く「Re:」の表示。

 

「Re:」はメールの返信を表しているので、そのまま送信して構いません。

 

件名はメールの用件を示す欄です。用件が続く限りは、「Re:」を削除したり、書き換えたりせずに返信します。

あまりにも「Re:」が続く場合はどうする?

メールソフトによっては、返信のやりとりの回数だけ「Re:Re:Re:Re:Re:」と何個も連なり、大事な件名が見えなくなってしまうことも。

 

そんなときは、「Re:」を1つだけ残し、ほかは消すなどして、適宜編集するように意識しましょう。

話題が変わったタイミングで、件名はリセットするのがマナー

では、いつまで「Re:」を付けたままやりとりしていいのでしょうか?

 

たとえ同じ相手とメールをやりとりしていたとしても、メールの内容・テーマが変わったら件名を変えるタイミング。なぜなら、メールを確認するとき、内容に応じて件名を変えていた方が自分も相手もわかりやすいからです。返信を続けるのではなく、新規作成して、件名を新たに付けます。

 

そのため、「話題チェンジのタイミングで、件名もリセット」と覚えておくとよいでしょう。

こんなときはどうする?ケース別:件名の付け方

ここからは、ケース別でどんな件名を付けたらいいか、実例を挙げて紹介していきます。

ここからビジネスがはじまる「初めましてのメール」

初めて送るメールは、本文を読まなくても用件がわかるよう、相手が読んでパッと内容をイメージできる言葉を入れることが大切です。 件名:新製品〇〇〇のご提案

 

件名:〇月〇日ビジネスセミナーに関する問い合わせ など、相手に伝えたいことやしてほしいことを明記し、日時や期日などが決まっている場合はあわせて書くとよいでしょう。

 

関連記事:初めてメールを送るときの挨拶に「初めまして」は使える?ビジネスメール挨拶の文例集

内容を明確に「依頼メール」

相手にお願いごとをするメールでは、何を頼みたいのかをしっかり書きましょう。 件名:新商品打ち合わせ日程変更のお願い

 

件名:セミナー登壇のご依頼

 

感謝の気持ちを伝える「お礼メール」

お礼を伝えるメールは、感謝の気持ちを表すことが目的です。その旨が伝わる件名がベスト。 件名:【御礼】○○セミナー参加

 

件名:◯◯の取材の御礼 といったように、何に対するお礼かわかるようにするのがポイントです。

 

お詫びは迅速に「謝罪メール」

本来、重大なミスに対するお詫びは、直接もしくは電話で早急に連絡するのが筋。とはいえ、相手のスケジュールなどによってすぐに会いに行くことが難しい場合もありますし、電話をかけても連絡がとれないこともあるでしょう。

 

そのため、まずはメールでお詫びをする場合は迅速に、そして謝罪の気持ちを伝えることを最優先に考えることが大切です。 件名:◯◯納品延期のお詫び

 

件名:◯◯撮影中止のお詫び

 

メールの件名を使いこなしてビジネスを円滑に

これまでよりも少しだけ意識してメールの件名を考えるだけで、より相手にこちらの思いや意図が伝わるようになります。

 

もしも件名の付け方に迷ったら、自分が忙しいときにその件名でメールを受け取ったらどうするか?とイメージしてみるのがコツです。

 

わかりやすくて印象がよいメールの件名で、効率よく円滑にビジネスを進めていきましょう。

 

PROFILE 直井章子(なおいしょうこ)

直井章子プロフィール写真

ビジネスメール教育の専門家。一般社団法人日本ビジネスメール協会専任講師。同協会にて、ビジネスメールの教育研修プログラムの開発、実態調査や検定試験に携わり、研修やセミナーでの講演、執筆など活動は多岐に渡る。著書・監修本に『このフレーズが決め手! 伝わるモノの書き方のコツ』(ナツメ社)、『カリスマ講師に学ぶ!実践ビジネスメール教室』(日経BP社)、『ビジネスメールの常識・非常識』(日経BP社)がある。

 

取材・構成/水谷映美