効果が絶大と話題の「足もみ」法で、冷え症の抜本的な改善を目指す本企画。これまでに、血流を整えて下半身に溜まった老廃物を取り除く「準備もみ」のやり方(※)と、老廃物を排出するための経路を作る「基本もみ」のやり方(※)を紹介しました。今回は、冷え症の人が特に老廃物を溜め込みやすい場所をピンポイントで刺激する、「冷え症改善足もみ」のやり方を和智先生に教えてもらいます。
老廃物が溜まりやすい3か所とは?
「冷えによって老廃物が溜まりやすいのは、“ひざ周り”、“足の指”、“腰椎+仙骨”の反射区」です。これらはいずれも血流が悪いと老廃物が溜まりやすい場所。冷え症の方の多くは血行不良に陥っているので、この部分に老廃物が溜まるケースが多いのです」
特に注意したいのがひざ周り。運動習慣がなく座っている時間が長いと、必然的にひざが曲がっている時間が長くなり、この辺りで血液が停滞して老廃物が溜まっていくのだそう。
「多くの人はひざ裏が冷たく、ひどい場合はひざの皿の骨の上あたりにゴリゴリとした塊(=老廃物)ができていることも。ひざまわりを触って冷えていないか、老廃物の塊がないか自分で触ってチェックしてみてください」
ひざと同時に意識したいのが足の指です。血液は心臓から送り出されているので、血流が悪いと心臓から一番離れている足の指が冷えてしまいます。この状態が長く続くと、足の指全体が硬くなってしまうのだとか。
「足の指全体がふっくら柔らかくなるまでしっかりもむことが大切です。足の指は細かく分けると「前頭洞」「大脳」「鼻」「三叉神経」「脳幹・小脳」「脳下垂体」「目」「耳」といった8つの反射区が集中しています。これらをまんべんなくもんでいくことで、全身の血流が促進されますよ」
「基本もみ」のやり方(※)でも説明した通り、反射区とは各臓器や器官とつながっている末梢神経の束がある場所で、反射区を刺激することで、刺激した反射区と結びついている臓器を活性化できます。そのため、足の指をもむと頭痛の緩和や疲労回復、花粉症の改善、眼精疲労など、さまざまな効果も同時に期待できると言います。
そして、3つめのポイントとなるのが腰椎と仙骨の反射区。
「私たちの背骨(=脊椎)は、首からお尻にかけて頚椎、胸椎、腰椎、仙骨、尾骨と呼ばれる25個の骨から成り立っています。腰椎と仙骨は、この背骨の下の方にある骨のこと。猫背などで姿勢が歪むと、背骨周辺の血管や神経が圧迫されて血流が悪くなるため、この辺りは特に老廃物を溜めやすいのです」
寒くて背中を丸めるような姿勢も、背骨を歪ませる原因のひとつとなるので注意が必要です。
「さらに、背骨の下、骨盤の中央あたりに位置する仙骨は、体の表面近くにあって寒さの影響をダイレクトに受けやすく、特に冷えやすい場所なので、ここと結びついている反射区をしっかりもみ崩すことが大切です」
腰椎と仙骨に結びついている反射区は、足裏の土踏まずのアーチの部分。冷え改善のためには、ここをしっかりもみ崩し老廃物を取り除くことが重要です。もむ順番は、ひざ周り、足の指、腰椎+仙骨の反射区。それぞれのやり方を見ていきましょう。
1分でできる「冷え症改善足もみ」
①ひざ周り
初回記事で紹介した「準備もみ」(※)の「太もも」の中で行った、ひざ周りのもみかたと同じです。正座の状態から、左足を伸ばして軽くひざを曲げます。左足の太ももにマッサージクリーム(または保湿クリーム)を塗って滑りをよくし、左足の内側を右手でつかみます。太ももの外側に握った左手を押し当て、ひざのほうから足の付け根に向かって老廃物をかき出していく。反対の手を握り、同様にふとももの内側の老廃物もかき出します。コリコリとした塊がある場合は、塊が柔らかくほぐれるまでしっかりともみ崩しましょう。
②足の指①(前頭洞)
足にカーゼなどを当て、手の親指と人差し指で足の指先を挟み、ぐりぐりともみます。「前頭洞」は副鼻腔のひとつで息を吸ったときに空気をろ過し、免疫にも関わる場所。頭痛や記憶力の改善、不眠症、風邪の予防にも効果が期待できます。
②足の指②(大脳)
足の親指の腹の周辺を、手の親指でしっかりともみ崩します。「大脳」は、情報の識別や記憶、情動などをコントロールする場所なので、疲れたときやストレスが溜まっているときにもむのもおすすめ。
②足の指③(鼻)
すべらないように足の親指を手でつかんで固定し、足の親指の外側の少し出っ張った部分を手の親指で上から下へ念入りにもみ崩し、かき出します。花粉症や副鼻腔炎、鼻風邪予防などにも効果的。
②足の指④(三叉神経)
足の親指の内側を手の親指で上から下へ念入りにもみ崩し、かき出します。「三叉神経」とは、顔の感覚や口の中、鼻の中の感覚などを脳に伝える器官のこと。無意識に顔面がピクピクするなどの症状がある人は、顔面神経痛の予防としてもむといいでしょう。
②足の指⑤(脳幹・小脳)
三叉神経の反射区の下あたりを、手の親指で上から下へ念入りにもみ崩し、かき出します。知覚の伝達を司る「脳幹」や、運動調節機能を司る「小脳」の反射区は、めまいの予防・改善にも。
②足の指⑥(脳下垂体)
足の親指が動かないように一方の手で支えながら、足の親指のちょうど中央を手の親指で念入りにもみ崩します。「脳下垂体」はさまざまなホルモンをコントロールする場所なので、その反射区をもむことで、ホルモンバランスが整います。
②足の指⑦(目)
目の反射区は人差し指と中指のつけ根から第一関節の間。この部分を上から下へ向かって、手の親指でもみ崩していきます。眼精疲労や目のかすみなどを感じたらここをもむのがおすすめ。
②足の指⑧(耳)
薬指と小指のつけ根から第一関節の間を、上から下へ向かって手の親指でしっかりともみ崩します。「耳」の反射区は、中耳炎や耳鳴り、難聴の予防・改善に。また、耳は平衡感覚を司るので、めまいの予防にもなります。
③腰椎+仙骨①
まずは腰椎の反射区をもんでいきます。腰椎の反射区は足の土踏まずの部分。左足を上にしてあぐらを組んだ姿勢に戻り、土踏まずのアーチに沿って小刻みにもみ崩していきます。もみ崩す時の手は第2回の「基本もみ」のときと同様、もむ足と同じ側の手の親指を反対の手の親指と人差し指で握り、握った手の第二関節を使ってもみ崩していきます。
③腰椎+仙骨②
次に仙骨の反射区をもんでいきます。仙骨の反射区は、腰椎の反射区のちょうど下あたり。土踏まずのアーチ下のかかと近くにあります。この部分を、腰椎の反射区と同様、小刻みにもみ崩していきましょう。
大切なのは時間より「しっかりと老廃物をもみ崩し、かき出すことができたか」なので、足をもむ前より柔らかくなったと実感できるまでもむのがベスト。でも、時間がなければ①〜③の合計時間が1分ほどでもOK。広く浅くいろんな場所をもむより、数カ所を集中的に行った方が効果を期待できるといいます。
「準備もみ」「基本のみ」「冷え性改善足もみ」の順番で正しくケアを行えば、長年の冷えで溜まりに溜まった老廃物を一掃でき、血流もアップ!ぽかぽかと温まりやすい体を手に入れることも夢ではありません。
「何事も継続が効果を出す秘けつ。1日1分でも毎日続けてほしいです」と和智先生。でも、「忙しくて気持ちにも余裕がない」人向けに、次回は家事や育児をしながらできる「ながら足もみ」を紹介します。
PROFILE 和智惠子さん
取材・文/上野真依 イラスト/itabamoe