前回「コロナ禍で冷え症が悪化する?今こそ足をもみたいワケ」(※)では、下半身に溜まった老廃物を取り除きやすくするための「準備もみ」のやり方をお伝えしました。
今回は、準備もみの後に行ってほしい「基本もみ」の方法を和智惠子先生が伝授!冷えの改善はもちろん、むくみや疲れ、ストレス解消にも効果があるそう。まさに忙しく働く女性にぴったりです。
点で刺激するツボとは違い、老廃物をかき出す!
「準備もみ」で足全体の血流を整えたら、次はいよいよ足もみにトライしていきましょう。
「私の提唱している足もみは、各臓器や器官とつながっている末梢神経の束・反射区を刺激していく健康法です。足ツボと混同されがちですが、手のひらや足裏をピンポイントで刺激するツボと異なり、老廃物をしっかりした圧でかき出していくのが特徴です」
体に溜まった老廃物は放っておくとカチコチに硬くなるため、それをもみ崩して柔らかくするイメージ。
「冷えに効果のある反射区もあります。ただそこをもむ前に、まずは膀胱などの排出を司る臓器や器官とつながっている反射区をもみ崩し、“老廃物を排出する道筋”を作ることが大切です」
排出を司る臓器は、膀胱、尿道、腎臓、腹腔神経叢、輸尿管の5つ。この臓器とつながる反射区を適切な順番でまんべんなくもみ崩すことで、老廃物を尿として効率よく出せるようになります。その方法が和智先生が提唱する「基本もみ」とよばれるもの。
「足もみというと、マッサージのような気持ちのいいものを想像しがちですが、実際は“もむ”というより、硬くなった老廃物を強めの力で“もみ崩し”、ほぐれて柔らかくなった老廃物を、血流に沿って体の外まで“かき出す”イメージ。もんで痛みを感じる場合は、そこに老廃物が固まっているというサインです。痛みを感じなくなるまで徹底的にもみ崩しましょう」
和智先生の療法院では「KMR毒出し桐棒」と呼ばれる、老廃物をもみ崩すために作られた専用の棒を使いますが、今回は道具がなくてもできる方法を教えてもらいました。
老廃物をしっかり取り除くには手の形が重要!
足のマッサージというと、指先を使って指圧するイメージを持つ人が多いのではないでしょうか。しかし、実は老廃物は体の奥深い場所や骨の周りなどに溜まっているため、これでは十分に力が入らず、完全にかき出すことができません。そこで重要となるのが「手の形」。しっかりもみ崩してかき出すための、基本の手の形を覚えておきましょう。
足裏をもむ場合は、もむ足と同じ方の手の親指を反対側の親指と人差し指で握り、握ったひと差し指の第2関節でもむと力を込めやすくなります。皮膚を保護するために、もむ部分にクリームを塗ってから始めましょう。
足の甲をもむ場合は、片手を握りこぶしにして、もう一方の手をイラストのように添えると力を込めやすくなります。こちらも、足の裏同様皮膚を保護するためにクリームを塗ってからはじめましょう。
老廃物をかき出して排出する「基本もみ」
※左右両方行います
①膀胱
膀胱の反射区は、かかとの内側の側面(くるぶしの下あたり)から足裏にかけてあります。あぐらをかいて座り、左足の内くるぶしの下から足裏に向かってもみ崩し、老廃物をかき出します。
②尿道
膀胱の反射区の隣にあるのが尿道の反射区。かかとと内くるぶしを結んだ線の中間あたりに位置します。この辺りも外側から内側に向かってもみ崩します。
③腎臓 ④腹腔神経叢
足裏のほぼ中央にあるのが腎臓の反射区。さらにその周辺には腹腔神経叢と呼ばれる腹腔動脈周辺の神経系の反射区があり、ここを同時にもみ崩していきます。足裏の中央からかかとに向かってかき出したら、位置を少し横にずらして同様にもみ崩していきます。
⑤輸尿管
輸尿管とは、腎臓から膀胱に尿を送る管のこと。この反射区をもみ崩すことで、老廃物を尿としてより排出できるようになります。体の器官と反射区は対応しているので、輸尿管の反射区も、腎臓から膀胱の反射区に向かって伸びています。かかと方向に向かって小刻みに掘りおこすようにかき出すのがコツ。足の裏には足底筋膜という筋肉の膜が足指からかかとに向かって伸びています。横に向かってかき出そうとすると、この筋膜を傷つけてしまうので注意を。
最後に、もう一度1の膀胱と2の尿道をもみ崩して、「基本もみ」の終了です。
理想は毎日「準備もみ」「基本もみ」をセットで行うことですが、そこまでする時間が取れないようなら、どちらか一方でも。冷え症の人は筋力が少なく血流が滞っている場合がほとんどなので、まずは「準備もみ」を習慣にし、足がほぐれたのを実感できたら「基本もみ」に進んでください。
次回は、いよいよ冷え症に効果のある反射区をもんでいく「冷え性改善足もみ」のやり方を教えてもらいます。
PROFILE 和智惠子さん
取材・文/上野真依 イラスト/itabamoe