4種類のポトフ

「ごはんと旅は人をつなぐ。」をテーマに、おいしいごはんや素敵な旅を通じて、人と人を繋ぐ。そんな活動をしている料理家・ダーダこと山田英季さんによる、連載エッセイ。

 

山田さんが「とにかく、今これが食べたい気分」な美味しいレシピを、作っているときの熱量も一緒にお届けします。

#06「新年一発目のダイエット。4つのポトフ」

新年を迎えて、気分も晴れやかに……とはいかない、世の中の情勢。

 

まぁ、誰が悪いわけでもありませんから、普段と変わらずおいしいものを食べて、元気に過ごしたいと思う2021年です。

 

さてさて、僕の正月の過ごし方は、絵に描いたような食っては寝、寝ては食いという、いたって健全なお正月。

 

やっている最中は、本当にこの生活が永遠に続けばいいのにと、思ってしまうほど自堕落な性格な自分がいることに、恐怖すら覚えながら過ごしていました。

 

とはいえ、三ヶ日の最終日になるとお風呂に入りながら、お腹をさすって「あぁ~、懲りずに今年もまたやってしまったな」と育ってしまったお腹を愛でながら、新年のダイエットを決意するである。

 

いざ、ダイエットの巻。

 

まずは、大晦日から食べたものを振り返りましょう。おせち、年越しそば、手巻き寿司、お雑煮、炊き込みご飯、ラーメン、餃子、納豆ご飯、うどん、すき焼き。

 

はいっ、圧倒的炭水化物。(好きなんですもの)ということで、今回のダイエットは炭水化物を極力減らそうと思います。

 

でも、お腹ってすいちゃいますよね。だから、ポトフでお腹をいっぱいにしちゃおう!痩せるかは、どうかはわかりませんが、おいしいということだけ保証できます。

 

まずは、下ごしらえです。

 

豚肉に塩で下味をつけているところ

豚肉を大きめに切って、塩をふり、1時間ほどおいておきます。すぐに焼くより、塩味がお肉の中まで入っておいしくなります。

 

続いて、野菜たちも、食べて満腹感があるように大きめに切ります。

 

豚肉にフライパンで焼き目をつけているところ

1時間経ったら、フライパンでオリーブオイルを温め、お肉を投入します。焼き色がつくように、最初はあまり動かさずにじっとがまんです。

 

お肉の全面に焼き色がついたら、鍋に移して、フライパンはそのままに。そして、ここが今回の最重要ポイントです。

 

フライパンでキャベツに焼き色をつけているところ

「キャベツに焼き色をつける!!」

 

お肉を焼いたフライパンにキャベツを入れて、切った断面に焼き色をつけていきます(オリーブオイルがたりなそうなら少したしてもOK)。この焼き目がスープに香ばしい風味をつけてくれるので、おいしさが格段に上がります。

 

ポトフに水を加えて煮込むところ

鍋に、大根、玉ねぎ、人参、水、白ワインを加えて、ひと煮たちさせ、蓋をして、弱火で40分コトコト煮込みます。

 

そして、おいしい瞬間がやってきます。

 

煮込んでいるポトフ

蓋を開けると、甘い香りの湯気とともに、煮えた野菜とお肉が、コトコトと静かに揺れている。「こんなにもおいしい瞬間があるのか」とそのまま食べてしまいたくなりますが、ここはグッと我慢です。

 

火から下ろして、おいしそうなスープベースを4等分に分けます。

 

そう、4日分です。ここから4日間、このスープベースの味を変えつつ、4つのポトフを楽しめるのです。

 

ポトフに塩で味付けしているところ

1日目は、シンプルに塩で味付けしていただき、

 

ポトフに黒胡椒で味付けをしているところ

2日目は、味噌とバターと黒こしょうで和洋折中で

 

ポトフにレモンで味付けをしているところ

3日目は、ナンプラーとレモンでエスニックに

 

ポトフにカレー粉で味付けをしているところ

4日目は、カレー粉と醤油で、和風カレーポトフにしちゃいます。

 

どれも、ほっこりおいしいので、飽きずに4日間過ごせますよ。寒い日には体も温まりますし、とってもいいですね。

 

1月の台所三箇条

    • 正月太りをポトフで取り戻せ!
  •  スープベースはたくさん作って、味を変えて食べましょう。
  •  いくらおいしいからといって、食べ過ぎてはいけません。

「4日間、味変ポトフ」レシピ

本日の材料 作りやすい分量 (調理時間:60分)

<スープベースの材料> ・豚肩ロース………600g


・大根………………1/3本


・にんじん…………2本


・玉ねぎ……………2個


・キャベツ…………1/2玉


・白ワイン…………大さじ4


・水…………………1.5ℓ


・オリーブオイル…小さじ2

 

作り方

①豚肩ロースを大きめのひと口大に切り、塩大さじ1(分量外)をまぶして、1時間ほどおく。大根、にんじんは、皮をむいて乱切りにする。玉ねぎは皮をむいて6等分のくし切りにする。キャベツは、ひと口大に切る。


②フライパンでオリーブオイルをあたため、豚肩ロースに焼き色をつけ、鍋に移す。


③②のフライパンにキャベツを入れて、焼き色が付くように炒める。


④②の鍋に③、大根、にんじん、玉ねぎ、水、白ワインを入れて蓋をし、湯気がでてきたら弱火にして、40分煮る。


⑤④を4等分にし、粗熱がとれたら、冷蔵室で保存する。


⑥その日ごとに味をつける。

 

塩ポトフ
<1日目、塩ポトフ>

材料

・スープベース……全量の1/4


・塩…………………小さじ1/3


・白こしょう………少々

 

作り方

鍋でスープベースをあたため、塩、白こしょうを入れて、弱火で5分煮る。

 

味噌バターポトフ

<2日目、味噌バターポトフ>

材料

・スープベース……全量の1/4


・みそ………………大さじ1


・黒こしょう………少々


・バター……………5g

 

作り方

鍋でスープベースをあたため、みそを入れて、弱火で5分煮込み、黒こしょうとバターを入れて溶かす。

 

エスニックポトフ

<3日目、エスニックポトフ>

材料

・スープベース……全量の1/4


・塩…………………小さじ1/4


・ナンプラー………小さじ2


・レモン汁…………1/4個分


・黒こしょう………少々

 

作り方

鍋でスープベースをあたため、塩、ナンプラー、黒こしょうを入れて、弱火で5分煮込み、仕上げにレモンを搾り入れる。

 

カレーポトフ
<4日目、カレーポトフ>

 

材料

・スープベース……全量の1/4


・カレー粉…………小さじ1/2


・醤油………………大さじ1と1/2


・砂糖………………大さじ1/2


・水溶き片栗粉……大さじ2(水大さじ1:片栗粉大さじ1)

 

作り方

鍋でスープベースをあたため、カレー粉、醤油、砂糖を入れて、弱火で5分煮込み、水溶き片栗粉を入れてとろみをつける。

 

<おまけ>

寒いですが、運動をせねば痩せないので、散歩もしようと思います。

 

料理製作・文・写真/山田英季 構成/松崎愛香