苦手ならしなくていいよ”努力は好きなことに向けたほうがいい

 

「子どもたちも、『お母さんは料理しないの?』と言うことがあります。そのたびに、『人にはできることと苦手なことがある。苦手なことはしなくてもいいんだよ』と伝えてきました。努力は大事だけど、苦痛を感じるようなら、その努力はできることに向けたほうがいい。妻と接していて、本当にそう思っています」

 

一時期はイライラしたこともあるタケルさんですが、今は妻と子どもたちとの時間がなにより大事だし、妻の教育方法にも感動しているそうです。

 

「とにかく子どもの意見をきちんと聞く。小さいうちは子どもが飽きるまで一緒に遊ぶ。妻は子どもを子ども扱いしない。わからなくても丁寧に説明するから、子どもはいつもお母さんが自分の味方だと信じ切っている。妻は『私は人としてバランスが悪い』と自分でも言っていますが、少なくとも全人格的に子どもと接している妻を僕はいいなと思っています」

 

苦手なことをせず、好きなことをたくさん見つければいい。今はタケルさんも、そんな妻の考え方に賛成しています。長男は絵画や彫刻などに夢中。いずれは美大を目指しそう。次男はダンスさえしていれば時間を忘れる子に。なんでもバランスよくできる優等生より、何かに秀でた子になればいい。親としてのその決断、できそうでなかなかできないことかもしれません。

 

家事ができず悩む妻
文/亀山早苗 イラスト/もちふわ

※この連載はライターの亀山早苗さんがこれまで4000件に及ぶ取材を通じて知った、夫婦や家族などの事情やエピソードを元に執筆しています。