子どもはあきらめ、夫は子猫をもらってきた
「いろいろあったけど40歳で子どもはあきらめようと夫とも話したんです。私の40歳の誕生日に夫が子猫をもらってきて…。それからはふたりと1匹で仲良く暮らしています」
自分の人生もきちんと見つめ直そうと、習いごとなども始めました。仕事になるかどうかはわからないけれど、好きなことを極めようと思ったのだそうです。
「手先が器用だったから、刺繍や洋裁の教室に行ってみたんです。ただ、そこの生徒さんは、帰りに集まってはカフェに行く。みんな子どもの話をするんですよね。私が“子どもはいないの”というと、悪いことを聞いたみたいに妙な雰囲気になって。私自身は納得しているし、夫もまったく気にしていないのに、まるで私がいけないことをしているかのような感じになるのがつらくて…」
私は何かの役にたっているの?と自分を責め…
結局、どこの教室も続かず、家で独学するしかなくなってしまいました。そのうち、ミユキさん自身、落ち着かない気持ちになっていきます。
「みんな、誰かのママだったり、どこかの会社に所属する人だったりしますよね。だけど、私は宙ぶらりんな存在。もちろん、〇〇さんの妻ではあるわけだけど、それは自分では納得できるものではありませんでした。たまたまスポーツジムで知り合った若い女性が、『専業主婦なんですか、いいですね!』と言ってくれたけれど、子どもがいないとわかると『やることなくて退屈じゃないですか?』って。それが世間の率直な見方なんだなと感じました」
夫に養われているだけの存在。子どもがいなくて仕事もしていない主婦は、生産性もなく、誰の役にも立っていないのではないか。ミユキさんはそうやって自分を責めるようになりました。その窮地を察してくれたのが夫です。