「お義母さんは、家庭の主役は自分だと思ってらっしゃいますね」

 

 

数年前、私が人生何度目かの鬱病を再発し、通い始めたメンタルクリニックの主治医に言われたこのセリフが、私の脳天をまるで稲妻のように撃ち抜きました。

 

今後の治療の方針を検討するためにも、一度ご家族とお話させてください、という主治医の要請に、夫よりも早く意気揚々とついてきてくれたのが義母でした。

 

「本来ならば祖父母はあくまで家庭のサポート役を務めるはずで、主役は若夫婦である甘木さんたちや、お子さんたちのはずなんです。それが、私がお義母さんとお話しした限りでは、ご自分こそが家族の中心だと思ってらっしゃる。だって、甘木さんの診察のためにいらしたはずなのに、お義母さん、ご自分の話しかしなかったですよね?」という主治医の言葉に、確かにその通り、と頷く私。

 

主治医に対しても、私の具合が悪いので助けてあげたいと思っていることや、息子夫婦を手助けしてあげられるのが世話好きな義母自身の喜びでもあることなどを嬉々として話していました。

 

基本的に自分の話しかしない、かつ他人の話をあまり聞かない義母に私が慣れ切っていたことに、そのときはじめて気づいたのです。

 

なぜここに?ママ友の輪に居座り続けた義母

そういえば、同居を始めて間もないころに、私のママ友数人が新居に遊びに来たことがありました。


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階の若夫婦用のリビングに集まり、久しぶりの再会に話に花を咲かせていると、突然、ドアをノックする音が。

 

「りんご剝いたからみんなで食べて!」と、義母がやってきたのです。

 

その後、私たちの輪の中に入って座りこみ、実に自然に話の輪に入ってくる義母。最初は愛想よく受け入れてくれていたママ友たちも、いつまで経ってもさっぱり出ていこうとしない義母の様子に、だんだん怪訝な表情になってきます。そろそろ出て行ってほしい…でも、言えない…!

 

そんな私たちの困惑に気づく様子もなく、義母はいつもの調子で自分の話を続け、最終的には「今日はババ友も仲間入りさせてもらって楽しかったわ!」と締めくくって皆を玄関まで見送ってくれました。

 

その後しばらく、私がママ友を家に呼ぶのを躊躇するようになったのは言うまでもありません。