部門や勤務内容の特性に合った勤務制度を整える
──働きがい改革では「ワークスタイル」「ワークマネジメント」「関係性を高める」の3要素が重要と伺いました。まずは、「ワークスタイル」について教えてください。
渡部さん:
ワークスタイルの変革では、2019年にテレワークの拡大や服装の自由化、在宅勤務制度の利用拡大を実施しました。スタッフ部門のみだったテレワークを、生産ライン職を除く全従業員対象として手続きを簡素化するなど、制度や規定を改定しました。
──物流や工場で勤務する方たちは、シフト勤務などの特性上、働き方改革では対象外とされることも多いです。こうした部門の働き方を変えることは、やはり難しいのでしょうか?
渡部さん:
ご指摘通り、生産ライン職はタイムスケジュールや商品の衛生管理など業務の特性上、スタッフ部門と比べると柔軟な働き方が難しい面はあります。
そこで、業務特性に合わせた対応ができるように、「フルフレックス制度」と「時間単位有給休暇制度」を21年に導入予定です。前者は7時から21時の間に所定時間の勤務を行う勤務体系、後者はフレックス勤務が難しい生産ライン職の従業員対象に、30分単位で月7.5時間までの早退・遅延を可能とする制度です。
──なるほど…「〇〇職は対象外」とするのではなく、会社が複数部門に対応して、それぞれの仕事の特性に合った働き方を整えているのですね。
渡部さん:
メーカーでは部門ごとに働き方が大きく異なります。私自身も長男と長女の育休復帰時は研究部門で「時短勤務」でしたが、ベストな働き方については悩んでいました。
時短勤務にすれば毎日決まった時間に仕事が終了するため、体力や生活の面ではうれしかったです。でも研究の仕事は時間だけでは区切れないことが多く、実験の内容によっては残業も発生しますし、休日に生産工場へ出向くこともあります。研究を優先した時間の調整ができず、自分の仕事の立ち会いにも行けない日が増えた結果、与えられる仕事もサブ的なものばかりになり、なかなか責任のある仕事ができないもどかしさを感じていました。
その後ショートタイムフレックス制度が導入され、時短勤務をしている従業員も、残業や休日出勤も含めてある程度は自分で調整ができるようになりました。現在こうした制度を活用している従業員からは、「仕事へのモチベーションが高まった」という声を聞いています。