家計の状況や親の給料について、子どもに聞かれたとき、皆さんはどう答えているでしょうか?多くの人は「お金の心配をさせたくない」「学校で友だちに言ってほしくない」と考えて、詳しく答えていないのではないかと思います。

 

それに対し、「家計や収入の話はタブー視しないで、子どもにきちんと話したほうがいい」と話すのは、家計再生コンサルタントの横山光昭さん。その狙いとは?

「収入が下がった」ことも正直に子どもに話す

横山家では、毎月、給料が入った週の金曜日に「家族マネー会議」を、夫婦だけでなく、社会人から小学生まで6人のお子さんが全員参加でおこなっています。その場で、親の収入や家計の状況を洗いざらい話します。

 

何を話しているかというと、家族が集まって以下のことを報告しています。

  • 今月の収入(私と妻)
  • 今月の支出(家賃、通信費などの固定費、食費や交際費などの変動費) 

     

横山家では4歳から家計の話をする

隠し事はいっさいしません。「収入が下がった」というような、あまり子どもに聞かれたくないことも洗いざらい話します。たとえば、弊社は家計相談をメインとしている会社ですが、新型コロナウイルスの影響で直接会って相談を受けることが難しくなり、一時、前年よりも売上が下がりました。そうした話もするのです。

 

家族マネー会議は、かれこれ10年以上は続けていて、末っ子は現在小学3年生ですが、4歳の頃から参加しています。

「収入」も「習い事の費用」も話す

親の収入や住宅ローンの残高、習い事にかかる費用。こうした家計の状況について、子どもに事細かく話している人は、ほとんどいないと思います。「子どもにお金の心配をさせたくないし、わざわざ話す必要もない」。そう考えるからでしょう。

 

しかし、私は、子どもには家計のことを事細かに話したほうがいいと考えています。子どもの金銭感覚を身につけるのに、これほど適した教材はないからです。

自分のおこづかいの使い道も考えるようになれる

家庭のお金の流れを話すと、以下のことを教えられます。

  • 使えるお金は限られている
  • 生活をしていくためには、多くのことにお金を払う必要がある
  • お金を上手に使うためには、使い道をよく考えなければならない 

     

 

すると、子どもも自分がおこづかいをもらうと、使い道をよく考えるようになるのです。

 

また、お金のことを隠していると、子どもにとってマイナスになることもあります。家計を知らないから、お金を意識せず買いたいものがあればすぐせがんだり、せっかく買ったものも大事に思わなくなるのです。

親の金銭的な苦労も知らずに大学を中退した過去が…

高校や大学の学費、習い事の費用なども当たり前に払ってもらえるものだと感じ、授業をサボったり、簡単にやめてしまったりします。

 

実は私自身もその一人。親の金銭的な苦労も知らずに、大学をすぐに中退してしまった過去があります。それを考えると、家計を知らないことは、親にとっても子どもにとっても良いこととは思えません。

お金のことを親子で相談しあえる関係がいい

このように、毎月の収支を洗いざらい伝えることで、我が家の子どもたちはお金を使うことに対して、自分の頭でよく考えるようになりました。

 

「大学の学費を一部自分で払う」ルールにしていることもありますが、高校や大学を選ぶ時は、学費について自分で調べていましたし、「私立に行って良い?」とそのつど相談してきました。

 

また、家の支出に対して、「ここは削った方が良いんじゃないかな?」と指摘するようになりました。

 

家族は「株式会社○○(家族名)」のようなもの。世の中を渡っていくためには、情報を共有して、何をすればよいか、皆で一緒に考えていくことが必要です。家族の絆を深める意味でも、家族マネー会議を行ってみてはいかがでしょうか?

 

監修/横山光昭 文/杉山直隆 イラスト/村林タカノブ